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堅下屋食堂からアントワーヌへ 【商店街で店主による講座を開催】

堅下屋食堂からアントワーヌへ

 

近鉄大阪線堅下駅西にある「レストランアントワーヌ」の太田淳史さんを招いて、「堅下屋食堂からアントワーヌへ」と題した講座を行いました。

 

最近、商店街活性化を目的として、お店のオーナーが講師となる「まちゼミ」が至るところで開催されています。今回の講座はそのような「まちゼミ」を意識し、会場がオガタ通り商店街の地域交流スペースということもあって実施しました。

 

堅下屋食堂からアントワーヌへ

 

祖父が開いた堅下屋食堂での手伝いをしていた幼少時から、自分のなかに料理人の血が流れていることを感じていたと語った太田さん。

 

堅下屋食堂からアントワーヌへ
▲かつての堅下屋食堂

 

フランス料理の歴史、日本とフランスでの修業時代についての説明のあと、祖父がお店を畳むと知った際、当時は神戸の高級ホテルで勤めていたものの「料理をお客様に出す思いは、場所がどこであっても同じ。伝えられるものだ」と一念発起。跡を継ぐ形で開店の運びとなった経緯が語られました。

 

レストランアントワーヌ

 

後半は、ミニフランス料理教室。ホタテ貝を使った一品料理体験。太田さんの指導のもと、受講者の皆さんも調理を行い、それぞれ自らが伝統的なフランス料理の一端に実際に触れることとなりました。(料理教室に関しては、参加者の受講料によって賄われています)

 

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【受講者からの感想】

「祖父の代からされていた食堂がなくなってしまうことに、シェフである太田さんのDNAが騒いだんだと思います。人生はチャレンジすることの方が大変だけれども、きっと楽しい。」

「フランス料理の成り立ちから、アントワーヌさんの歴史まで、非常に面白い講義で、調理体験まであり、大変満足でした。」
「なぜ堅下でフランス料理店をオープンした理由がよくわかった。また、国土面積の広さによって点在した都市の歴史を大事にするという、フランスのお国柄、文化度も理解できた」

 

受講者:ふじばやしさんによるリポート

アントワーヌの太田さん話を伺うまで、フランス料理、自分には縁のないものと思っていました。

フランス料理の歴史とお店のお話。人間と料理のかかわり、食べていくことの大切さ、土地への想い。無縁と思っていたものが、出会って化学反応して、目の前にあらわれた感じです。行ったことがない、フランスの地名を聞きながら、メモをするのに必死でした。

 

食は大きく2つ。定住せずか、定住してか。食の広がりと発展。

火が生まれたことで、生以外の食べ方ができ、保存できるようになったこと。手づかみで取り分け、スライスしたパンの上に置いて食べる。料理に香辛料を使ったのは、当時、菌が多かったため。今とは比べ物にならないほど、衛生面はひどかったのだと思う。権力を示せるほど、貴重だった香辛料も、新大陸発見で安くなったら料理に使われなくなる。人間の欲というか、歴史は面白い。

 

厨房のシステム、コースという発想、フランスは各地に特徴があり、町を想い、食を大事にする。フランス料理を通して、堅下屋食堂からアントワーヌへ引き継がれる想い。つくり手がお客様の為に考えることなど、他のことにも通じるようなお話を聞きながら、ヒマラヤの岩塩と胡椒で下味をつけ、軽く焼いたホタテのポワレ。美味しくいただきました。