Gourmet

地域への社会貢献も。フィッシュ&チップス専門店がオープン

Stanbrook's Fish&Chips

※2015年11月に取材、掲載した記事です。

オガタ通り商店街に また新しい感覚のお店がオープンしました。フィッシュ&チップスの専門店、その名も「Stanbrook’s Fish&Chips」。本場であるイギリスの「緑」を基調とした外装で、柏原ではもちろん、周辺地域でもこれまであまりなかったジャンルのお店です。オーナーの祐田尚紀さんにお話を伺いました。

そもそも、祐田さんの本業は歯科医(柏原センチュリー歯科院長)。 「歯科医が飲食店を経営」と耳にすると、少し不思議な気もしますが、祐田さんのなかではどちらも同じ姿勢。

「歯科医師が必要とされない社会を作る」

地域で暮らす人たちが歯科治療に支払うお金をゼロにする、その結果、歯の治療ではなく、旅行や美味しい料理への楽しみに生活の価値を見出してもらいたい。その意味において、飲食店経営は歯科治療と同じ方向にあるものだと、祐田さんは断言します。

 

Stanbrook's Fish&Chips

 

「好きな釣りを存分に楽しめるだろう」と大学時代を長崎で過ごした経験も、今回のフィッシュ&チップスに活かされています。新鮮な魚の入手方法などの貴重な情報を、かつての交友関係から学びました。

また、もうひとつ材料として欠かせない じゃがいも。これについては、行政や地主への度重なる交渉を繰り返し、柏原市内で耕作放棄地となっている畑を借りて耕し、育てたものが中心となっています。フィッシュ&チップスに適した「北海こがね」を主に栽培。

さらに油は、地元企業である岡村製油株式会社が生産する上質な綿実油を使用しています。軽さが自慢の油にあわせ、お好みにあわせた塩加減も。

 

Stanbrook's Fish&Chips

 

このように考えると、社会的意義が念頭にあって始めたフィッシュ&チップス店のように思えますが、祐田さんの考え方は少し違っていて「これは逆算」とのこと。

実は、フィッシュ&チップス店経営を思いついたのは、家族旅行でイギリスを訪れた際の出来事がきっかけでした。子どもが体調を崩して寝込んでしまった際、なぜかフィッシュ&チップスには不思議なくらい食欲旺盛となり、すぐに回復した経験があったそうです。これ以来、祐田さんのなかにフィッシュ&チップスへの格別な思いが生まれました。

 

まずはお店のオープンを企画した後に、地域社会への貢献を踏まえて打ち出した柱があります。

 

・耕作放棄地の活用
・子育て女性の就業支援

 

耕作放棄地の活用は、すでに述べたとおりですが、子育て女性の就業支援については、フルタイムで働くことが難しい人の事情を踏まえた労働時間を考慮しています。実はここにも逆算の論理があり、あらかじめ設定した労働時間で働いてもらうのではなく、従業員が働くことができる時間帯を優先した営業時間としました。

この理由は、現在の一般的な雇用体制では、普段フルタイムで働けない子育て女性に有能な人たちが埋もれている実情に気づいたからでした。

 

Stanbrook's Fish&Chips
▲Fish&Chipsに欠かせない「サーソンズ・モルトビネガー」も。

 

 

▲店内の随所にイギリスのテイスト

 

即効的な結果が生じないとしても、10年、50年、100年先を見据え、ぶれることなく長期的な視野に立った地道な取り組み。そのような「遠くをはかる」姿勢は、自身の歯科医院の名称を「センチュリー歯科」と名づけているところからも把握できます。

なお、祐田さんの頭のなかには柏原の名産であるワイン醸造も視野にあり、現在の祐田さんの取り組みと同様、耕作放棄地を活用しつつ、長い月日をかけて醸造する地元ワイナリーの影響もあるそうです。

これらの背景に自身の思いが重なって、働く人も、消費する地域の人たちも幸せに感じてもらう仕組みを築く点に、今回の経営における意義を見出しています。

 

Stanbrook's Fish&Chips▲容器にも環境を配慮

 

お店を構える商店街との連携も。材料となる魚は地元商店街にあるスーパーなども協力のもと、新鮮なものを採用しています。

フォークを用いると本場イギリスのそれと比較すると崩れがちなのは、素材が新鮮な証拠。その都度、魚の種類や調達方法も変えながら、いろんな魚を楽しめるメニューにしていく計画です。

 

Stanbrook's Fish&Chips

 

また、歯科医の仕事柄なのか、その器用さを活かして、ほとんどの内装や外装、配管などは祐田さん自身の手によるものというから驚きます。この際、工具や電気に関する工事については、地元商店街にある専門店の支援や協力もあり、「専門とするお店や職人さんの力を思い知らされた」と、商店街にある専門店の技術力を実感できたのは収穫だったとか。

 

今後の取り組みとしては、地域の人たちとともにじゃがいもを育てる企画を検討しています。多くの人たちに「農」と「食」の密接さと大切さを実感してもらうため、これからの未来を担う子どもたちとの収穫イベントも実施。(※2015年12月19日〔土〕には、「オガタファーム 冬のじゃがいも収穫体験」 を開催。)

 

フィッシュ&チップス店によって地域社会の幸せを考える数々の経営理念には、今後も目が離せません。いろんな意味で「新しい食」の考えに基づいたお店です。

 

 

店名 Stanbrook’s Fish&Chips
場所 柏原市清州1丁目4-14
アクセス
Facebookページ https://ja-jp.facebook.com/StanbrooksFishChips/

※営業時間など最新情報については、上記Facebookページにて随時発信されますので、ご確認ください。