かしわらイイネットで情報発信を行って10年近くなりますが、イベント取材初期に知ったのが、いたに萬幸堂の「亀甲せんべい」です。
この美味しさはどこから来るんだろう、まさに亀の甲羅のようなフォルムがいいなと感じていたので、あらためて同社の伊谷祐一社長からお話をお聴きしてきました。
昭和30年代の大阪には、100店舗以上のせんべい販売専門店があったそうです。戦後の復興から高度経済成長期へとさしかかった時に、「いたに萬幸堂」も独自のせんべいづくりを手がけました。
▲本社前にある直売所「井戸元」には同社のすべての商品が置かれている
創業は前回の東京オリンピックが開催された昭和39年(1964年)。当時は製造メーカーが直接小売店に卸す物流が一般的で、同社も独自の販路を切り開いてきました。
その後のスーパーマーケットの台頭や物流体制の変化にも負けず、無添加で安全な商品づくりを心がけることで、現在も消費者の信頼を得ています。
格子せんべいや炭酸せんべい生産を主力とする同社ですが、一番の人気商品は今回の「亀甲せんべい」。甘味ある「べっ甲せんべい」から派生したもので、茶系の焼き色も特徴です。
黒糖には主に沖縄・波照間島産を使用。蜜も自社製。
「同じ沖縄でも地域が違えば味覚も違うんですよ」
と伊谷社長は言います。曲面の形にするために専用の機械を設置しました。
その味覚へのこだわりが口コミで広まり、「どこで販売しているのか」と問い合わせが続くようになりました。
ついには大手スーパーのバイヤーの目にとまり、一時はそのスーパーマーケットにしかない限定商品だったそうです。
ちなみに、さらに開発された「黒糖シナモン」という商品がありますが、こちらはパルコープ生協の消費者に大人気。生協での販売には材料使用や製造過程の細かなチェックがあり、その審査を経た商品だけに信頼を得られた商品です。
▲消費者のニーズに応え、一口サイズの「小さな亀甲」も販売
ひととおりお話をうかがったあと、「これって亀石に似ていません?」と尋ねてみました。
「亀石」とは、このたび日本遺産に認定された「龍田古道・亀の瀬」地区の大和川にあるシンボルです。「亀石の向きが変わると大和川の水がせき止められてしまう」という古い言い伝えも残っています。
日ごろから地域活動も大切にする伊谷社長。また堅上地区の歴史への思いも格別です。
「うちは10年以上前から亀甲せんべいを作っているから、日本遺産を盛り上げる意味でも何か貢献できたらいいですね」
と笑顔でお話をいただきました。(事情により、笑顔の写真が撮れなかったのが残念。また撮影にうかがいます)
すでにある日本遺産フードだけに、「亀甲せんべい」が亀の瀬訪問者の手に届くのもそう遠くないかもしれませんね。 (おおむら)
ちなみに、いたに萬幸堂では7月31日(土)〜8月7日(土)に恒例、夏の感謝市を開きます。今回も密を減らすために期間を長くしての開催ですので、足を運んでみてくださいね。
日程 | 2021年7月31日(土)〜8月7日(土) |
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場所 | 株式会社いたに萬幸堂 本社工場(柏原市今町2-11-28) |
マップ |