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新しい季節へ向け、昨夏のぶどう収穫を振り返る。無添加のデラウェアジュースも披露

デラウェア 企業ボランティアによる収穫

昨夏は酷暑と呼ばれるほどの気温が続いていました。40度にも達しそうな夏空のもと、遊休農地とぶどう農家の高齢化や担い手不足など地域課題を克服しようと、ぶどうの収穫作業が行われました。

企業ボランティアと福祉事業所の利用者による収穫作業、この取材も今回で5年目となります。

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福祉施設による就労でブドウ収穫

写真は2025年8月1日の模様です。

この日は、奥田さんの管理するぶどう畑で、大阪府のアグリパートナー制度による新田ゼラチン株式会社(八尾市)と東亜電子工業株式会社(大阪市)、福祉事業所からは大阪アグリバイオ株式会社(大東市)が、柏原市内のぶどう畑に駆けつけました。汗をかき、体力も使いながらの収穫作業です。

この日を含め、7月下旬から8月上旬にかけて計5日間の作業でした。

 

デラウェア 契約農家における収穫
大阪アグリバイオによる収穫
新田ゼラチン株式会社の皆さん
▲新田ゼラチン株式会社の皆さん

 

東亜無線電機株式会社の皆さん
▲東亜無線グループの皆さん

 

年が明けた2026年1月14日には、今回の作業やその後の報告を含めた「振り返り会」が、カタシモワインフード株式会社で開かれました。当日はぶどう農家、企業、福祉、大阪府や柏原市の行政関係者、JA大阪中河内などが参加。

 

ブドウ収穫振り返り会

進行をつとめた大阪府中部農と緑の総合事務所 農の普及課によると、昨年夏の対象となったぶどう農家は5軒。総収穫量はデラウェア4058.3kg、マスカットベリーAが176.2kgでした。熱中症対策として、今回より収穫時間帯を午前中に設定した説明も。

その後、それぞれの立場から報告。

参加したぶどう農家(山下さん・奥田さん)からは「気候変動にも対応できるぶどうづくりを目指さなくてはならない」という危機感、「大粒ぶどうはそれほど影響はなかったが、体温以上の暑さが原因で種ありデラウェアに色が出ず、そのまま劣化する房があった」と、実情が語られました。

 

ブドウ収穫振り返り会

出席した企業(収穫を取材した上記2社)からは「ボランティアメンバーが固定されてきた面があるが、その分、経験による収穫の工夫ができている。メンバーも増やしたい」「新規採用や中途採用の研修にも充てており、今後も続けていく」と前向きな意見がでました。

福祉事業所をとりまとめる一般社団法人エル・チャレンジ福祉事業振興機構の報告によると、今回の収穫には4事業所の参加。 大阪アグリバイオ株式会社(大東市)、ラーメンあったか(羽曳野市)、夢工房くるみ〔社会福祉法人くるみ福祉会〕(柏原市)、NPO法人こくり(藤井寺市)。

昨年2月には見学会を実施したことで、新たな参加事業所もあったこと、また2026年以降の新規参加予定も述べられました。「この収穫を楽しみにしている利用者がいる」という話も。

 

ブドウ収穫振り返り会
▲一般社団法人エル・チャレンジ福祉事業振興機構木戸さんから福祉施設の報告

 

その後の意見交換では、農地を広げることの意義や、今後の農福連携や遊休農地の活用、それを踏まえた柏原ぶどうの知名度向上などが、各関係者から語られました。

最後に、今回の収穫から生まれた「100年つむぐ大阪産デラウェア2025 無添加葡萄ジュース」が、カタシモワインフード株式会社から披露されました。

新規の参加農家も増え、多くの関係者に対し、ぶどう生産者として感謝の意が述べられたあと、ジュース完成の経緯について報告も。

 

ブドウ収穫振り返り会
▲カタシモワインフード株式会社高井麻記子さんからは、お礼とともにジュース完成に至った報告

 

同社によると、最初は気温が低くて酸が残ることが見込まれたため、当初は辛口白ワインの予定だったそうです。それが「収穫直前に晴天が続き気温も急上昇したため糖度も上がった。そのため糖度と酸が両立した」とあって、今回のジュースに方針を変更。

香料も使わずろ過もしない、搾ったままの無添加ぶどうジュース。これまではワイン醸造だっただけに全員で楽しめない報告会でしたが、今回はアルコールのないジュースだけに乾杯する場面も。

 

ぶどうジュースで乾杯
▲ノンアルコールの「ぶどうジュース」で乾杯

 

「100年つむぐ大阪産デラウェア2025 無添加葡萄ジュース」のラベルは、今年も福祉施設利用者によってぶどうをイメージしたイラストが用いられています。見学会のきっかけもあり、7団体45作品の応募となりました。そのなかから、あん合同会社(就労継続支援B・大阪市)の利用者が採用されています。

手がけたデザイン会社によると「グラフィックのインパクトを損なわないような工夫を施した」と説明もありました。

 

100年つむぐ大阪産デラウェア2025 無添加葡萄ジュース
▲100年つむぐ大阪産デラウェア2025 無添加葡萄ジュース(ラベルを強調して撮影)

 

以下、採用された利用者の方からのコメントが届いています。(そのまま掲載)

「このような素敵な企画に参加出来て良かったです。感謝いたします。今回初めての参加でラベル採用の結果をお聞きし、驚きと嬉しさでいっぱいです。とても良い経験になり、実績を積むことが出来ました。ありがとうございます」

「100年つむぐ大阪産デラウェア2025 無添加葡萄ジュース」は昨年秋から600本が数量限定で販売され、残念ながらすでに完売しています。

今回の振り返り会は、次のプロジェクトへ向けた新たなスタートを切る機会となり、この2月には福祉事業所を対象とした見学会の実施がすでに決まっています。

(初回更新:2026.02.03 13:29   最終更新:2026.02.03 19:53)