Interview

感染症対策から地域医療へ。町の未来を見据えた診療を(1)あかし内科クリニック

あかし内科クリニック 明石祐作 医師

医療法人あかし内科クリニック
明石祐作 医師にインタビュー(前編)

柏原市旭ヶ丘にあるあかし内科クリニック。「信頼と温かさ、地域に根ざした総合診療」を掲げ、日々の医療に力を注いでいます。

今回のインタビューは同クリニック医師の明石祐作さん。かつて感染症内科で新型コロナ対応も行い、柏原では地域診療にあたる医師です。

インタビュー前編は、明石さんが柏原で診療にあたるまでの経緯について、お聴きしました。

 

ー はじめに、あかし内科クリニックの開業から教えてください

平成14年(2002年)に母が開業しました。市立柏原病院の循環器内科に勤務していた父が退職し、当院の院長に就いたのが平成17年(2005年)です。その時に法人化し、内科と循環器内科のクリニックとなりました。開業して20年が過ぎました。

 

ー (明石)祐作さんが勤務されるようになったのはいつからでしょうか

2020年7月です。現在も筑波メディカルセンターにも非常勤で診療していて、両方で診療しています。

 

ー 筑波と柏原の両方を移動されるのは大変ではないですか。

もう慣れました(笑)こちらは実家もありますし、不便な点はないですね。

あかし内科クリニック▲あかし内科クリニック。近鉄河内国分駅西から徒歩7分、府道27号柏原駒ヶ谷千早赤阪線沿いにある

 

ー 筑波ではどのような診療を?

総合診療科と感染症内科を専門としています。新型コロナ当時は、感染症内科で新型コロナの対応に追われていました。

今では懐かしい気もしますが、完全装備の防護服を着用し、患者宿泊施設で診療していました。ちょうど全国でもホテル療養を初めて実施するような時期でした。

 

ー 関東と言えば、外国のクルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス号)で新型コロナに罹患する人が発生していました。

その当時からです。コロナより致死率の高い1類・2類感染症への対応を訓練しており、新型コロナの対応に特に躊躇はありませんでした。

 

あかし内科クリニック▲この看板が目印。駐車場あり

 

ー あかし内科クリニックでの新型コロナ・感染症診療はいかがでしたか。

ここ数年は、ご存じのように新型コロナ対応に追われていました。当初、新型コロナウイルスの感染症を診療する前に藤井寺保健所への届け出が必要だったのですが、「柏原市では最初なのでがんばってください」と応援していただきました。

私が就任するまで当院のスタッフは感染症対策をしたことがなかったのですが、感染の不安があるなかで、献身的に診療にあたってくれました。

 

あかし内科クリニック▲現在の受付の様子

 

基本的には可能な限りの患者さんを受け入れてきましたが、受診を希望される方の数が多く、やむを得ず診療をお断りすることもありました。

時折、「どうして診察してくれないのだ」とお叱りをいただくことがあり、申し訳ない思いをすることもありました。なるべく多くの患者さんを診療できるよう、常に運用を見直す必要がありました。

 

あかし内科クリニック▲院外に接する発熱外来対応の診察室。後部に空気清浄機を設置する

 

ー 現在、発熱があった場合など、どのような対応をされていますか。

新型コロナが5類となり、マスクを付ける人が少なくなってから、RSウイルス、アデノウイルス、溶連菌など、いろいろな感染症が一度に流行するようになりました。新型コロナに特化して感染対策を続けるのは難しい状況です。

そのため、現在は発熱がある方の診察はすべて受け入れていますが、新型コロナウイルスの可能性が低い場合でも、診察する時間や待合場所を分けて診察しています。待合場所には専用の空気清浄機を設置して、院内感染を起こさないよう工夫しています。

 

あかし内科クリニック▲院内の至るところに空気清浄機が設置されているのも特徴

 

 

ー 感染症診療を行うきっかけはあったのでしょうか

初期研修医として様々な診療科で研修を行い、そのあと救急科で3年間の後期研修を行いました。救急科の専門医となったのですが、内科や総合診療の知識を深めたいと考え、2014年から筑波大学の総合診療科グループで再度研修を開始しました。

特に感染症診療をするつもりはなかったのですが、筑波メディカルセンター病院の総合診療科で働いていた時に、感染症の先生(現在の筑波大学 感染症内科学 鈴木広道 教授)に目をかけていただきました。

「大学院の研究も一緒にやってみないか」と声をかけていただき、翌年の2015年から感染症内科で働き始めました。

 

あかし内科クリニック▲PCR検査機もいち早く導入した

 

ただ、私が所属していた筑波大学の総合診療グループの教授から「総合診療の研修は修了するように」と言われていましたので、一度感染症内科を離れ、小児科研修、診療所研修、大学病院の救急などに従事しました。その後は再び、感染症内科に勤務することとなりました。

 

あかし内科クリニック▲さまざまな感染症に対応する多種のワクチンを備えている

 

 

ー 救急も大変な仕事ですね

救急科の研修のため、神戸市立医療センター 中央市民病院で3年間勤務しました。救急医療の質で全国1位になったこともあるような、神戸市の基幹病院です。テレビなどにもよく取り上げられているみたいです。

救急外来は忙しいですが、その他の科の診療でも大変なことは数多くありますので、救急だから特別につらいということは特にありませんでした。

 

ー 他に志望はあったのでしょうか?

総合診療、大学院を卒業したら柏原へ帰ることを考えていました。が、その後の案件もこなしているうちに、家庭では子育ても始まり、筑波と柏原を行き来する状態になっています。

後編に続く

 

(参考)
あかし内科クリニック Webサイト
https://akashi.clinic

 

取材・構成:かしわらイイネット
撮影:natully photo(ナチュリーフォト) 萩 沙織