この町につながる人へ、柏原の力を合わせたスイーツを (パティスリー アンジュブラン)
パティスリー アンジュブラン 大西良さんにインタビュー
柏原市法善寺にあるパティスリーアンジュブラン。季節にあったスイーツも多く提供し、ファンの多いお店です。町の特産品とのコラボレーションも積極的で、さまざまな商品を開発しています。そこで、同店の大西良さん(株式会社Preferred Impact Japan代表取締役)に話をうかがいました。
● はじめに、パティスリーアンジュブラン(以下、アンジュブラン)の定番商品からお聞かせいただけますでしょうか。
「いちごショート、チョコレートショート、モンブランなどが、やはり定番ですね」
● となると、お客様はどんな方が多いですか。
「ファミリー層から個人でお買い上げになる方まで、幅広くご愛顧いただいています。法善寺店は小さなお子様がいらっしゃる子育て世代の女性が多いのが特徴です。が、近鉄八尾駅構内にある近鉄八尾店はちょっと違って、家のおみやげに購入する仕事帰りの男性や、自分用に買う学生さんがいらっしゃいますね」

▲パティスリーアンジュブラン法善寺店
● 店の立地で違いがあるのは興味深いです。
「そうですね。コンビニエンスストアでも1個300円~400円の時代ですから、学生さんでも自分だけにひとつ、という方もいらっしゃいますね」
● 大西さんイチ押しの商品をお教えください。
「モンブランです」
● モンブランですか、私としては意外でした。
「実は10年以上、改良に改良を重ねている商品なんです。スタッフが素材を選んだうえで栗のうらごしを施し、配合も変えている。栗を引き立てる素材の改良を随時見直しています。ぜひ味わってみてください」

▲パティスリーアンジュブランのモンブラン
● アンジュブランと言えば、柏原の特産品とのコラボレーションも積極的ですね。
「はい、以前から、『柏原河内ワインカステラ』はカタシモワインフード株式会社のワイン、山国ぶどう園のはちみつによる『柏原マドレーヌ』、最近リニューアルした『柏原ドーナツ』は、岡村製油株式会社の綿実油を使用しています。夏以外では、株式会社いたに萬幸堂の炭酸せんべいを『炭酸ゴーフレット』として売り出しています」
● アンジュブラン本店(法善寺店)以外で買える場所はありますか
「先ほど言った近鉄八尾店、オンラインショップ、日本遺産推奨商品「もう、すべらせない!!」ブランドの認定を受けた柏原マドレーヌは、亀の瀬地すべり歴史資料室でも販売していただいています」

▲法善寺店の店内。視界に入る幅広いショーケースが目をひく
● コラボレーションで大切な視点は何でしょうか。
「『地域のお客様』を大切にすることですね。地域のお客様とは、この町に住んでいる人、住んでいた人、働いている方はもちろん、遊びに来られた方も含めたすべての柏原につながる人たちのこと。柏原に「住んでいる」「戻ってきた」「訪れた」と、さまざまな場面を想定し、その人たちが何を感じて、柏原の力を合わせたスイーツをどう味わっていただくかが大切だと考えています。
● 「店としてこれは行う」というような決め事があればお聞かせください。
「生菓子では四季折々の季節商品は必ず用意します。そのためには常に2、3カ月先を見据えて商品開発を行う必要があります。クリスマスやお正月のギフトなどは半年先ですね。ですから、クリスマスギフトはすでに終わっていますよ(インタビュー:2026年7月21日)」

▲季節によってバラエティ豊かな商品が並ぶ
● 大西さんの常に先を見据える姿勢を知ることができました。ここからは違った視点でお尋ねします。アンジュブランで大西さんが関わるようになった年を簡単にお教えください。
「2012年11月から、私はアンジュブランを運営しています。それまでは別のオーナーがいらっしゃり、13年が過ぎました」
● さしつかえなければ、アンジュブランを引き継ぐこととなった経緯について教えていただけますでしょうか。
「勤務していたsucre(シュクレ・東大阪市)を退職後、sucreの業務の一部の仕事をしながら新たな事業ができないかと考えていました。ちょうどその頃、取引のある担当者から「アンジュブランが後継者を探している」と耳にしたのがきっかけです。そこから前オーナーとの協議を重ね、まとまったのです」
● となると、大西さんは経営者なのでしょうか。
「そうです。株式会社Preferred Impact Japanの代表取締役として、この店の経営を担っています」
● 経営視点での新商品の開発はどのように行っていますか。
「販売直前まではすべてスタッフに任せています。販売担当含めたあらゆるスタッフの間で、アイデア出しから意見交換を重ねた末、メニュー案ができあがってきます。私はそれをチェックし、味やデザインを再考し、価格の微調整を行っています」

▲商品開発はスタッフ同士のアイデア出しから決まる
● スタッフとのコミュニケーションも大事そうですね。
「新商品の開発途中では口を出さないようにしていますね。質問があった際はもちろん答えますが。途中で注文をつけてしまうと、スタッフが楽しく業務に取り組める環境ではなくなってしまうんですね」
● 若いひとにはどのように対応されていますか。
「基本的に、学生のアルバイトスタッフは学業優先で対応しています。土日祝やクリスマス、お盆で働く機会のあることも知り、のし対応のギフトなど日本独特の風習も学んでもらっています。アンジュブランの仕事を通じて、今後の人生に役立ててもらうように努めています」
● 雇用も大変かと感じますが、最近の物価高の影響をお聞かせください。
「最低賃金も上昇し、厳しさを増していて、価格転嫁する必要のあるのが心苦しい状況ですね。毎年材料は約5%から10%値上がりしています。例えば、今年になってフルーツのピューレは4月に10%、小麦は7月に3%、砂糖は8月に5%アップ。包装の紙製品は4月に10%上昇しています」

▲「物価高の価格転嫁が心苦しい」と切実な心持ちを語っていただいた
● 中東情勢の影響はいかがですか。
「これが今一番困っていまして、本年度に入ってから30%から50%アップしています。業者からの納品が著しく遅くなっていて、4月初めに注文したものが本来なら1カ月半で済むのですが、3カ月かかっているケースがあります」
● 例えばどのようなものか、具体的にお教えいただけますか。
「一番困っているのが手袋。保健衛生用だけでなく医療用にも使われることから、特にSサイズの調達に困っています。卸業者との取引では間に合わないため、ホームセンターへ走ることもありますね。あとは、ケーキの外側を包むフィルム、焼菓子の個包装用の袋なども大きな打撃を受けています。フィルムや袋、テイクアウト用の箱には印刷を施すための塗料なども間接的な問題として起きています」

▲生菓子だけでなく焼菓子のセットも豊富に
● 大変な状況が把握できました。最後に、今後の展開がありましたら、お教えください。
「コラボ商品をブラッシュアップし、より『柏原みやげ』としてお買い上げいただけるようにパッケージの変更を考えています。材料調達が難しい状況ですが、「柏原ドーナツ」についてはおみやげ用の箱が間に合いました。流行を感じながら過去の商品のブラッシュアップを検討しているところです。新規出店は考えず、既存の店内売場のリニューアルを施しながら、昔からあるものを大切にした見直しですね。『ブラッシュアップ』をキーワードに、今後の展開に向けて取り組んで参ります」
取材日)2026年7月21日
店内の写真提供)パティスリー アンジュブラン

2012年に「かしわらイイネット」を設立。地域の情報発信をはじめSNS講座講師、各種講座の主催も担う。趣味は音楽、天然石探しなど、いずれもロック。











