柏原市民の方も、出張や旅行で新幹線を利用することがあるでしょう。大阪から遠く離れているにもかかわらず、車窓からふと見慣れた光景を感じた時はありませんか?
大きな「727」の数字。高い頻度でこの看板が視界に飛び込んでくるのです。
この柏原市民や近隣の方にはよく知られているデザイン(ハウスマーク)、これは株式会社セブンツーセブンの野立て看板です。
株式会社セブンツーセブンは、全国の美容室を通じて、女性用化粧品全般、ヘアケア、美顔器、健康食品を販売。研究・開発、製造、販売、教育までを自社一貫体制で行っているのが大きな特徴です。大阪府内では現在約200店のサロン(美容室)が登録し、取り扱われています。
▲2016年2月21日発売 新・メークアップブランド「クォンテ」
社名は、創業者の誕生日が7月27日だったことに由来。
当初から大学との共同研究、皮膚医学にもとづく化粧品製造や新しい美顔法の開発などを行い、長きにわたり多くの独自製品を生み出しています。
1961年(昭和36年)7月27日には、製造部門となる株式会社セブン化学を設立し、現在の柏原市太平寺(近鉄大阪線安堂駅北東すぐ)に移設。当時の柏原の水質の良さも移設理由のひとつとのことで、以来、その工場の風景やハウスマークは、柏原市民にも長く親しまれているものです。
▲柏原市太平寺にある本社工場
柏原の町では馴染み深くても、一般的には「727」の看板は珍しいようで、「新幹線から見えるナゾの看板」として、度々各メディアに取り上げられ、TV番組「探偵!ナイトスクープ」や「タモリ倶楽部」などでも紹介されました。また、鉄道ファンを中心とする一般の方からの関心も高く、ブログやSNSを用いた発信がなされています。
そこで、株式会社セブンツーセブンでは「もっと当社のことを知って欲しい」と、今年(2016年)の1月より「727看板物語 新幹線から見えるアノ看板の秘密」という特設サイトを設けました。
ここには、「野立て看板」と呼ばれる看板広告について、その概要説明、田や畑などの私有地に看板を設置させていただくための苦労話やその他様々なエピソードが綴られています。
例えば、新幹線沿線にあっても車ではたどり着けない場所に看板が設置されているなど、GPS機能の存在しない時代には大変な苦労があったような話も。
▲特設サイト「727看板物語 新幹線から見えるアノ看板の秘密」
そもそも「野立て看板」は、同一業種の大手企業の宣伝広告とは異なる形態を考慮したもので、1979年(昭和54年)に始められました。
今回のサイト立ち上げについて、株式会社セブンツーセブン企画室・磯島さんによると、「1年ほど前、広告や販促、ブランディングなどを見直していた時期に社内の意見を集めたところ、注目されている「野立て看板」を活用して『もっと当社のことを知っていただく機会になれば』」と、今回の新たな取り組みを決定。
野立て看板は、東海道新幹線に限らず、山陽・東北・上越にも設置。(看板の数は非公表)
新幹線乗車中に「現在、5~7分間隔で1本見えるぐらいを目安に」置かれているそうです。
しかも、この頻度は新幹線の左右どちらに座っても同様に考えられているとのこと。視認性のチェックも定期的に行なわれていて、ここまで細かく配慮した設置には、あらためて驚かされました。
あくまで製品開発や品質保証を最優先事項とし、広告コストはマスの広告ではなく「野立て看板」を中心としているそうですが、結果的にその方針が様々なメディアに取り上げられ、新たな波及効果を呼んでいるとも考えられます。
さらに、今回、「全国に数多く設置している看板のなかで、『2基だけそれぞれ異なるデザインの看板』があります」(同社企画室磯島さん) とのこと。(*2016年3月の取材内容です)
粘ってみましたが、設置場所は明かしていただけませんでした。
「ナゾの看板にさらなる『ナゾ』がある」
見つけられた方にはハッピーが訪れるかもしれませんよ(?)。