Report

クビアカツヤカミキリからサクラやウメを守るには。大阪市内でフォーラム

サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム

柏原市でも桜の木々が減少傾向にあります。その要因のひとつが、2018年に特定外来生物に指定されたクビアカツヤカミキリの存在です。

桜の季節は過ぎましたが、夏の6月〜8月に成虫が活動、産卵するとあって、警戒の重要な時期となっています。

サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム

そこで、おおさか環農水研主催による「サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム」が7月17日、エル・おおさか南ホールで行われました。

大阪造幣局施設課による「桜の通り抜け」に関する特別講演のあと、おおさか環農水研山本優一さんによる話題提供「クビアカツヤカミキリの生態と防除」がありました。

山本さんによると、クビアカツヤカミキリは2017年、府内では大阪狭山市で初めて確認されました。以来、柏原市では2019年に確認、今年度は豊中市、泉大津市、交野市、大東市、島本町などで発見され、2024年7月現在28市町村にまで広がっているそうです。

サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム

サクラだけでなくウメやスモモなどのバラ科に影響があり、繁殖力が高く、自ら飛ぶ、天敵がいないことなどがクビアカツヤカミキリの広がりの大きな原因となっています。

その他、クビアカツヤカミキリの特徴や対策に関しては、大阪府サイトでご確認ください。

 

●特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」警戒中!!
https://www.pref.osaka.lg.jp/o120030/midori/seibututayousei/kubiaka.html

 

行政レベルでは次の段階に入ってきたとし、「クビアカツヤカミキリ防除技術の情報発信をさらに広げることが必要」と述べました。

成虫や寄生された木をいち早く発見することが大切とし、手がかりとなる幼虫が排出する「フラス」(幼虫のフンと木くずが混ざったもの)について解説がありました。

サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム

さらに、サクラの木として注意する目安として

1)物理的に大きな木
2)樹勢が低下(葉のない木)
3)樹皮が荒れている

などの特徴が挙げられました。

予防としては、クビアカツヤカミキリが産卵できないように、幹まわりに空間の余裕をもった専用ネット装着や、マツグリーン液剤などによる樹幹散布が必要と指摘しました。

話題提供のあとは、富田林、長居公園、大阪城公園の管理者が参加するパネルディスカッションも実施。おおさか環農水研の山本さんも入り、同調査役の池口直樹さんによる進行で意見交換が行われました

サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム
▲長居公園の取り組みより

 

富田林市ではすでにクビアカツヤカミキリがまん延しており、地域住民への啓発と協力をお願いする実情が語られました。長居公園では拡大に備え、昨年より調査と予防をはじめました。大阪城公園では現時点でまだ発見に至っていないものの警戒しています。

課題としては防除にかかる予算の問題、「クビアカツヤカミキリを発見すると『踏みつぶす』とあるが、命の大切さを伝えるために子どもへの説明が難しく、瓶に入れている」との声もありました。

山本さんから「特定外来生物は移動させてはいけないので瓶で持ち帰るのは避けてほしい」と指摘があり、「サクラのフラスの初期段階では、樹幹散布などで木を再生させることは可能」と述べられました。

 

 

なお、当日は予防に関する事業者の出展もあり、柏原市の日本ワイドクロス株式会社から自社の製品として「クビアカガードネット」の説明がなされていました。

サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム