日常の風景に意外な発見。アクアロードかしわらの子ども像の作者に近づく
長瀬川沿いの「アクアロードかしわら」にある子どもの彫刻。ここを歩くひとたちにはすっかり定着している像です。その姿から、寒い時期は帽子やマフラーを着せてあげる人もいるようで、微笑ましく映ることも。
場所は長瀬川の築留三番樋から岡村製油株式会社コットンハウス前まで。(Googleマップが開きます)


▲長瀬川(アクアロードかしわら)より
かしわらイイネットでもSNSを中心にその姿をたびたび投稿していましたが、7,8年前ほど前から同じ像が他市にも存在することがわかっていました。
下にあるように、枚方市、豊中市、大和高田市に存在しています。いずれも現地で筆者が撮影したものです。

▲枚方市役所付近(撮影:かしわらイイネット)

▲豊中市立文化芸術センター付近にて(撮影:かしわらイイネット)

▲奈良県大和高田市 大中公園付近にて(撮影:かしわらイイネット)
不思議でした。どうしてこのように多数、他市にも存在しているのだろうかと。ネット検索ができる昨今、徹底的に調べてみました。結果、北は北海道から南は大分県までよく似た像の存在が判明。その多さに驚きました。特に東京は特徴的です。これはあらためて表にしようと考えています。
掲載しているのは、かしわらイイネットと同様の地域情報発信サイト、あるいはまちの風景を綴ったブログやアート系のメディアでした。

▲始点の三番樋にある地図は色褪せて読めないが、ここにも2つ
存在の多さはもちろん、この像の姿は、町の人たちの心にどこか印象に残るものなんだな、という感想も持ちました。
ここまで調べて気になることが次のとおり。
1)作者が不明。
2)平成初期(バブル経済期あたり)にこれらの像が大量に製造されている可能性がある。
3)東京、名古屋、大阪、広島など都市部に多い。
1)については不思議なほどです。「作者不詳」の記録が多い。
2)は、この「アクアロードかしわら」が1997年(平成9年度)に建設省(現・国土交通省)の手づくり郷土賞(ふるさと賞)を受賞していて、この頃に大量生産されているのではないかと推測。
3)は、川沿い、公園など公共的な場所に設置されているケースが多いことから、なんらかの公共事業の関連で設置されている可能性が高い。2)の事例を考えても同じ理由があるかもしれません。

▲柏原市では名産ぶどうが描かれたマンホール蓋も各所にある
特に1)の「作者不詳」が気になりました。そして、かなり調べた末にやっと見つけたのです。なんと手がかりは近くの大阪府河内長野市にありました。
「奥河内から情報発信(南河内ニュース)」という南河内の情報サイトがあります。Yahoo!ニュースエキスパートとしても記事を投稿していたので、その名前やトピックスを見たひともいるかと思います。
その「奥河内から情報発信(南河内ニュース)」が2023年4月9日に下記の記事を掲載していました。
奥河内から情報発信(南河内ニュース)より
【河内長野市】石仏新町橋近く、中片添第3公園の真下にある謎の子供像は、何のために誰が作ったのでしょうか(2023年4月9日アーカイブ記事)
河内長野市でも同じ作品があり、今回のイイネットと同様に作者を知ろうと、すでに2023年に調査していたのです。河内長野市が平成24年3月に発行したリーフレット「まちかどアート」に像の掲載が判明。作者名が記されていました。
その名は、久保田俶通。
このことを「奥河内から情報発信(南河内ニュース)」様からお教えいただき、早速河内長野市から「まちかどアート」を取り寄せました。平成24年時点でこのようなリーフレットを作成したことにも頭が下がる思いです。

▲河内長野市が平成24年に発行した「まちかどアート」
開けてみると、確かに久保田俶通氏の名前が掲載されていました。河内長野市のサイトでも閲覧できます。
● 河内長野市 まちかどアート
https://www.city.kawachinagano.lg.jp/soshiki/57/3696.html
先の記事を見る限り、現地には作者名がないようで、この元となる資料があれば完璧です。河内長野市文化・スポーツ活性課にも電話で問い合わせました。残念ながらその元となる資料の存在まではたどり着けませんでした。(突然の電話にかかわらず、非常に丁寧なご対応ありがとうございました)
久保田俶通という方の拠点は千葉県市川市。同市にあるご本人の作品など、ネットで掲載されている限りの情報を探しました。ですが、こちらも残念なことに、この像に近い作品は見つかりませんでした。ちなみに久保田氏は、長崎平和祈念像を手がけた北村西望氏の二番弟子である藤野天光氏に師事。2010年に内閣総理大臣賞を受賞した日本彫刻の大家です。

▲まったく関係ありませんが、ガンダムマンホールもどこかにあります
注意したいのは、リーフレット掲載の元資料の存在や作者自身の明記がない限り、久保田俶通説は100%ではありません。アクアロードかしわらにおいては、複数の作者も推測しています。いずれにしても、町の風景を追求する視点を学び、身近なアート情報をまとめたリーフレットの存在を知り得たことは、大きな一歩でした。「奥河内から情報発信(南河内ニュース)」様には本当に感謝申し上げます。
2)3)にあるように、きっかけは公共事業の一環だったかもしれません。それが今となっては、各地の人たちの目を引きつけ、ネット上に掲載しています。そこには作品の力があるのではないか、とも。何気ない日常の風景を柏原以外の地域の人たちとも共有できることに、発信者としての広がりを感じます。
この記事を通じて、同様に掲載している他の地域情報発信者の方々にも像の存在を知っていただきたく、リンク掲載の依頼もしたいと考えています。どうぞよろしくお願い致します。

▲ぼくに言ってる?

2012年に「かしわらイイネット」を設立。地域の情報発信をはじめSNS講座講師、各種講座の主催も担う。趣味は音楽、天然石探しなど、いずれもロック。















