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子どもたちと地域のチカラで生まれた「りこぴんぱわー」

りこぴんぱわー

 

きっかけは、イイネットの女性スタッフから送られてきた画像でした。素朴なイラストと力強いタイトルのラベルのついたトマトジュースのチラシ。非常に関心を抱いて、これを作られた国分幼稚園に早速問い合わせ、お話を聴かせていただきました。

 

大手食品加工メーカーのCSR(企業による社会貢献活動)として、毎年春に小学校・幼稚園・保育園へジュース用トマトの苗を無償で届け、食育につなげようというプログラムが設けられています。今回、国分幼稚園もその取り組みに参加し、今年の春に98の苗が届けられました。

 

既存の園内の畑はもちろん、土の量を多くするために手づくりの専用鉢も用意。子どもやその保護者の皆さん、先生、さらには農作業に詳しい地域の人たちも一緒になって、夏休みもほとんど欠かさず、多くの力で育て上げました。

 

 

 

夏にはおよそ100kg、1,300個ほどのトマトを収穫。ジュースに加工できる会社を探す苦労があったものの、奈良にあることがわかり、計274本のトマトジュースができあがりました。経費はPTAのバザーによる収入が元になっています。

 

りこぴんパワー

 

この間、先生方の間ではどのように育て上げ、ジュースを作り上げるかを検討するワークショップが重ねられました。

 

注目すべき点は、子どもたちの間で このトマトジュースをどのような名前にするか、宣伝をどう行なうのか、各委員会制による大人顔負けの企画会議を開いたことです。

 

りこぴんパワー

 

トマトの成分を勉強し、候補となる商品名を3つほど決定。その上で全員投票の結果、「りこぴんぱわー」という名前が生まれました。トマトの成分にあるリコピンには、ビタミンEの100倍以上の抗酸化作用があるとされています。

 

 

りこぴんぱわー

 

さらにラベル委員会では、子どもたちが描いたイラストによる5つのヴァージョンのラベルが決定。

 

 

また、一般の広告チラシの特徴を知ることによって、自分たちがトマトジュースの特性や長所をどのように広げていくかを考え、オリジナルのチラシもできあがりました。

 

さながら企業の商品開発的な会議を、幼稚園の子どもたちが行なっていたことに驚かされます。これには、子どもたちが自ら考えるという趣旨がありますが、実際普段はあまり積極的に会話しないような子どもが、委員会で発言するようになったという効果も見られたそうです。

このようにして、多くの人たちの力によってできあがった「りこぴんぱわー」。

 

老人会の人たちとの交流のなかでは、「しわがあるひとは のんでください」などと書かれたコピーを目にした途端、「こりゃ、飲まなあかんな〜」と、笑顔で話されていたそうです。

地域活性化のひとつに第6次産業(1次〜3次産業の複合形態)が言われる昨今、難しいことを考えず、シンプルに皆で考え楽しく行動してみるなど、そのようなヒントが子どもたちの試みのなかに隠されているような気がします。教えられることがいくつもあり、大人も負けていられない、刺激的な事例のように思われました。

 

追記)

その後、国分幼稚園の取り組みに、カゴメ株式会社から「凛々子賞」が贈られました。
(1999年から実施されている「カゴメ りりこ わくわくプログラム」において)