柏原駅より西へ徒歩3分、商店街を入っていくとすぐの場所に、ゲストハウス「Bed & Bicycle」があります。
「すぐ」と言っても、少々わかりにくい。というのは「スワーハ」や「まめや」「キッチンモトクラシ」など飲食店が並ぶ、大正通りポケットの奥(北側)にあるため。
通りから建物が見えないので、ちょっとした「隠れ家」的スポットになっています。
▲もうすぐアジサイが色づく。向かって右が本館、奥がハナレ(2021.05.25撮影)
「Bed & Bicycle」は、昭和9年建築の木造平屋をリノベーションし、大人7名まで宿泊できるゲストハウスとして2018年4月にオープン。
かしわらイイネットでは当時、「自転車ユーザーが利用できる宿泊施設」として紹介しました。
オープンから3年が経過し、その後の変化なども含め、運営する仲村祐哉さんにあらためてお聞きしました。
▲Bed & Bicycleを運営する仲村さん
学生時代は「地理学」を専攻した仲村さん。「地理」と耳にすると小中高で学ぶ「社会・地理」の印象を受ける方もいるかもしれません。「地理学」とは自然科学や環境、地質学などの性格を併せ持った学問を言うそうです。
そのため国や大学によって、文系だったり理系だったりとさまざま。理系の大学で「地理学」を学びたいと、仲村さんは東京の大学へ進みました。
卒業後はツアー添乗員の仕事も経験し、語学を習得するためにオーストラリアへも留学しています。
▲Bed & Bicycleの本棚にも地質や海洋、昆虫などの本が並ぶ
やや難しい前置きとなりましたが、「Bed & Bicycle」には、そのような仲村さんの経験や、物事の境界に捉われない考え方が前提にあるように思えます。日本だけでなく外国のツアーサイトにも登録し、この3年間は国を問わず、遠方からの来客も多くありました。
▲来訪者が自身の国をマークしたあとが世界地図に残る
ツアーでは町の日常を見せて、体験もしてもらう。「光を観るための観光ではなく、ありのままの町の姿や自然環境を見てもらいたい」と、柏原を拠点にサイクリングやまち歩きでガイドし、体験を。
具体的な体験としては、染工場の見学、和菓子づくり、日本ならではの銭湯案内、話題のSUP(サップ)などいろいろ。
▲柏原の名産やガイドマップ(古地図も)が置かれる玄関。青い手ぬぐいは岡田染工場に発注したBBオリジナル
▲ベッド。奥も寝室になっている
宿泊やツアー以外にも、子どもたちに教える「BB塾」も運営。ここ最近は、種の発芽する様子がわかるよう、多くの植物の種を並べるなど、独特の学び方を進めています(学習についてはご要望にも応じるそうです)。ガイドでも共通するそれぞれの「好奇心」を大切にし、意欲を広げているようですね。
▲体験企画の写真や子どもたちのリポートを掲示
▲写真以外にもさまざまな種類の種があり、比較しながら発芽の様子がわかる
ほかにも、工作教室や中国語教室のレンタルスペースとしても場所を提供。オープン当初に見せていただいた光景を考えると、施設の雰囲気も変化していました。
さらに、この5月1日には「ハナレ」がオープン。
建物(本館)の西にあった民家が空いたことから、その後の活用を検討した結果、シェアスペースに生まれ変わりました。(追記:その後、一棟貸しも可能となりました)
キッチンや手洗いなどを改装し、和室をメインとした部屋が借りられます。自宅ではしづらい人向けのテレワークにも使えそうで、いろんな用途が考えられますね。
▲ダイニングキッチン(奥にシンクあり)
▲部屋の一つ。食材など持参で焼肉も可能(取り付けた例)
▲洗面所もおしゃれに
手前にある芝生にテントを建てたり、バーベキューも可能と、アウトドアの楽しみ方も。以前、子どもたちと実施した「流しそうめん」も夏にはできるとのことでした。
【※感染症の状況により、持込み品や入場者数の制限があります。ご了承ください】
パプアニューギニアの豆で、香りあるコーヒーを入れていただき、きれいな木のテーブルでお話をお聞きしました。
が、話がつい長くなってしまい、本当なら「まめや」のテイクアウトをする予定だったのですが、完売…。「スワーハ」の「野菜カレー」を買って、部屋でいただくことにしました。テイクアウトできるお店の食事なら、こんな使い方もありですね。
スパイシーな味わいの後には、仲村さんの実家(畑)で採れた夏みかんで、生絞りジュース(有料)を。その美味しさがもう絶妙。酸味とバランスのとれた甘さがたっぷりの天然ジュースを堪能しました。
▲夏みかんを搾ったジュースを紙ストローで
取材当日は天候も穏やかで風通しもよく、なぜか次から次へと見学者があり(!)、そんななかで、縁側から見える青空を眺め、しばらくゆっくりした時間を過ごしました。
実のところ、新型コロナの影響で「Bed & Bicycle」も外国からの来訪が途絶え、大きな打撃がありました。
それでもこの状況で、利用者にどのような企画やサービスを提供するかを考え、次のステップへと向かう姿に刺激を受けます。
仲村さんのこれまでの手法と新たな発想が「ハナレ」で結びつき、まだまだ発展しそうな、今後も注目の施設です。
( by おおむら)
施設名 | Guest House – Bed & Bicycle |
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場所 | 柏原市大正1丁目2-4 |
アクセス | |
TEL. | 080-9307-5693 |
サイト | https://bedandbicycle.jimdo.com/ |