ぶどう農家の高齢化や耕作放棄地の課題解決を目的に、昨年夏も企業ボランティアや福祉事業所の就労による収穫が実施されました。比較的栽培しやすいワイン用に生産転換したぶどう農家の収穫作業を支えるプロジェクトです。
そのプロジェクトを振り返る「令和5年度ワイン用デラウェア 契約栽培振り返り会」が、1月16日にカタシモワインフード株式会社で開かれました。
ぶどう農家、収穫に携わった企業(5社のうち出席はアグリパートナーの新田ゼラチン株式会社、東亜電子工業株式会社)、福祉事業所をとりまとめる一般社団法人エル・チャレンジ福祉事業振興機構、JA大阪中河内や大阪府・柏原市の関連機関、デザイン会社など21人。
大阪府農と緑の総合事務所による進行で、それぞれの立場から発言し、共有する場を設けたものです。
すでにこの取り組みが行われて3年目。昨夏は雨が少なく開始当初から35度以上の気温が続くなか、ぶどう農家5軒の収穫を7月末から8月初旬の6日間、実施しました。
今年から「おおさかぶどう・ワインの郷」(ワイナリー)奥田さんが管理を始めた畑での収穫もありました(※今回の収穫作業のぶどうから「おおさかぶどう・ワインの郷」でも醸造されています)。
すべての農家の出荷量は3,915kg。ぶどう農家からは「今年は高温による日照りもあって生育がよくなかったが、皆さんのおかげで無事収穫できた」「来季は新たな手法でのぶどう生産にも挑戦したい」との声も。
※昨年の収穫の模様、新たなアグリパートナー制度については下記リンクをご覧ください。
企業では「新人研修の一環で実施し、若い人たちへ社会貢献の認識をはかっている」などの声も。福祉事業所の感想をまとめたアンケートからは「収穫・さび取りの難易度が減り、満足度が上がっている。一方で暑さ対策に不安を感じる事業所がある」などの内容が示されました。
その後もすべての出席者から、ぶどう栽培や地域貢献、農福連携に関する意見や感想が次々に述べられました。多くの皆さんの力で収穫され、醸造に至ったワインです。
カタシモワインフード株式会社高井麻記子さんから、酵母によるワイン醸造、スパークリングワインの瓶内二次発酵の仕組みを説明。昨年の振り返り会では醸造中だった「100年つむぐ大阪産デラウェアスパークリング2022」と、すでにリリースされた今回の「100年つむぐ大阪産デラウェア2023」が披露されました。
今回のラベルイラストも福祉事業所の利用者によるもの。ラベルデザインを手がけたデザイナーによると、背景となるイラストをいかに見せるかを工夫したそうです。
最後に、カタシモワインフード株式会社高井利洋社長から「ぶどう栽培、収穫からワイン完成までの関係者がこのように揃った振り返り会は、なかなか例のないものです。振り返りをもとに、農家の抱える課題解決や大阪ぶどう栽培の発展につなげたい」と、お礼のあいさつが述べられました。
今回は新たに南河内の若手農園や就労支援事業者の参加もあり、振り返り会終了後も意見交換が尽きず、次のシーズンへの期待も感じる機会となりました。
▲「100年つむぐ大阪産デラウェアスパークリング2022」(右)と「100年つむぐ大阪産デラウェア2023」(左)