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浪華本染め(注染)の実演と展示で、伝統ある技法をわかりやすく

浪華本染めの体験と展示企画

 

晴天のもと11月5日に大和川河川敷公園で行われた第12回市民総合フェスティバル。商工まつり・スポーツフェスティバル・環境フェア・市民郷土祭り(河内音頭踊り大会)に、ステージや図書館・アートのワークショップなど多彩な内容が3年ぶりに実施されました。(模様の一部をFacebookやInstagramに掲載しました)

第12回市民総合フェスティバル 第12回市民総合フェスティバル

 

さらに市役所北の「かしわらテラス」では、協同組合オリセンによる浪華本染めの実演と展示が企画され、来場者の注目を集めていました。

浪華本染めの体験と展示企画

協同組合オリセンは昭和22年に創立。平成25年に現在の名に改称し、織物・染色の伝統的な技術を継承して伝えるため、堺市や柏原市などの事業所が属しています。

特に明治時代から続く「注染」と呼ばれる技法は「浪華本染め」として、令和元年、国の伝統工芸品に認定されました。

浪華本染めの体験と展示企画

 

柏原市にぎわい観光課では、かつて百貨店で行われた企画を見て、ぜひ柏原市でもとオファー。産業振興課など関係者との打ち合わせを経て、市役所建物内に10月31日から実物を展示、フェス当日の11月5日には実演(体験)とワークショップを行う運びとなりました。

浪華本染めの体験と展示企画


この日は協同組合オリセンの体験企画や展示であったため、柏原染色加工業協同組合に属する市岡染工場、神奴染工場、水本染工場、澤染工場のほか、堺市からも職人・関係者がスタッフとしてサポート。

注染は、柄をデザインした型紙を用いて、着色を防ぐための糊(防染糊・ぼうせんのり)を生地に置きます。そのあと柄の周りに「土手」と呼ばれる囲いを作り、中に色を注ぎ込みます(注染と呼ばれるのはその手法から)。

糊置きされた部分は色がつかないので、糊を水で洗い流すと染めた箇所だけが残るという技法。

浪華本染めの体験と展示企画

 

本来は長い生地を折り返しての作業を糊置きから行い、機械(コンプレッサー)で染料を吸引し、表と裏両面の染色を行います。生地のずれがないかを見定めて糊を置き、微妙な色合いやグラデーションには、職人の技が問われます。

この日の体験では、糊置きと染色を簡単にした作業を来場者が実際に経験できるようにもなっていました。(※以下、来場者が体験する模様を撮影しました

 

浪華本染めの体験と展示企画
▲子どもが糊置きする体験(右向こう)

 

浪華本染めの体験と展示企画
▲防染された生地の柄に沿って土手(囲い)を作り、色を注ぐ場所を決める

 

浪華本染めの体験と展示企画
▲自分のつけたい色を選び、囲いのなかに染料を注ぐ

 

浪華本染めの体験と展示企画
▲すべての囲いに色を注いだ。右手前の囲いは青と緑の2色

 

浪華本染めの体験と展示企画
▲めくってみると防染した以外の部分に染色できたことがわかる。2色の青と緑は境目で色が重なる

 

また、室内では余った端切れを用いて栞(しおり)をつくるワークショップや、「浪華本染め(注染)」の完成品が額で展示、作業工程の説明もありました。

浪華本染めの体験と展示企画
▲栞(しおり)状に切り取って、後からラミネート

 

実際に体験し、目の当たりにするとよりわかりやすく、その出来ばえに体験者や見学者から感嘆の声が上がっていました。

柏原市では染色業の事業所が減少傾向にあり、数年前から販売事業者や市民の手で染色業の認知を広める動きが出ています。このような企画でも伝統ある技術を伝えるきっかけとなると思えました。

浪華本染めの体験と展示企画
▲こちらはあらかじめつくられ、無料配布された完成品