株式会社九櫻 繊維事業部 桂恵美さん
株式会社九櫻 桂恵美さんへのインタビュー前編では、繊維事業部の立ち上げ当時のことを伺いました。今回はその後の体制の変化や、桂さんの仕事への姿勢、アイデアの出し方などを尋ねます。前編はこちらをお読みください。
オフィス体制や環境の変化で新たなアイデアも
ー 現在の繊維事業部など、職場の環境を聞かせてください
繊維事業部はその後、若い女性が2人入社し、現在は3人体制です。2022年4月には今町工場の建物の一部をリニューアルし、オフィスを構えることになりました。
パタンナーも女性で、裁断、職布などの部署が積極的に関わっていただいています。試作品を作るのは時間がかかるのですが、生地もすぐ織り上げてもらえるので、助かってますね。納期までの生産もスムーズで、新しい提案もいただくようになりました。
ー 事業を進めるうちに変化したことはありましたか。
商品の種類が増えていくと、「伝統ある企業が新たな展開をしている」と営業先でも興味を持っていただくことが多くなりました。訪問では必ず自社のバッグを手にしているのですが、注目度が高いですね。
▲菱刺子を素材としたハンドバッグも注目される
ー 購入者からのフィードバックはありますか。
Makuakeで購入された人からは多いですね。InstagramやTwitterなどでも「大切にバッグを使ってますよ」「こんな感じでバブーシュを履いてます」とかご連絡があります。そのなかで新たなご提案をいただく機会もありますね。
ー Makuakeなど見ていても次の企画展開が速いですよね。そのスピードはどんなところから生まれるのでしょうか。
あまり多くの不安を考えすぎると、凝り固まって前へ進めないことがあります。私たち今の3人体制でのメリットに、世間の情報を共有できることがあります。他の2人とは年齢が離れていますから、若い世代の観点を得られるのがいいですね。
例えば最近、昭和時代が流行しているじゃないですか。20~30年前の服装を若い子が着てるので懐かしい、と思いながら「私の学生の頃は巻き髪でワンピース着て、カーディガンを羽織ってたけど」とか、話してるんですよ。
そんな会話を続けるうちに「じゃあ、次はこんな商品はどうですか」って。日常的な会話からも新たなアイデアが生まれることが増えましたね。
▲2022年11月の柏原市民総合フェスティバルではブース出展も
ー ひとりのスタートから、今の3人体制になったのは大きいですか。
はい。今後を考えると、他の2人にもそれぞれやりたいことがあると思うので、なるべく芽を摘まないようにしています。若い人ができる業務はどんどん任せて、とりあえずやってみよう、できるところまでやってみて無理なら止めればいい、という考えで。
そうして進めるうちに、私から別の手法やコスト面などのアドバイスをして、販売までこぎつけたケースもありました。
SNSもほとんど任せています。注意すべき点は私も気を配っていますが、こだわらなくていい内容については、担当者自身の考えで投稿していることもありますよ。
仕事を進めるうえで大切にしていること・夢
ー 他事業者とのコラボレーションは、どういうきっかけで生まれるのでしょうか。
やはり人とのつながりが大切です。例えば染工場は、商社から紹介していただいた方で、その染工場から鞄製造の事業者、さらに児島のデニム製造の会社など、繋がりが膨らんでいきました。
今の銭湯関係でも兵浴(兵庫県公衆浴場業生活衛生同業組合)様とのコラボ企画でサウナマットを製作しました。
▲刺子生地でサウナマットやサウナハットも
サウナハットの提案をいただいて実際に形にすると、大阪の同業者を紹介していただけたのです。セレッソ大阪の「サ活」イベントに出店できたのもそのような縁ですね。
ー 外へ出て行くことで、いろんな展開があるようです。
「思いついたら行動しないと後悔する」と考えています。気になった企業や人には、あまり深く考えずにすぐ連絡を入れていますね。
結果、強面(こわもて)で怖い人じゃないかと不安に感じていた人が、実はかなり仕事の世話をしてくれることもありましたよ(笑)
ー 行動のスピードも速く、アクティブですね。
今回のサウナ企画は地元柏原市の銭湯でも最初から検討していたんですね。ただお会いするきっかけが掴めなくて。
そんな時、すでにご縁のあった入船温泉(大阪市)様から「新柏原温泉(※写真トップ)が興味あるって言ってたよ」って話をいただきました。しばらく連絡をお待ちしていたのですが、結局、私から電話しました(笑)
サウナハットを置いてもらったら「これはすぐ売れるよ」って言われて。置いてもらった翌日にもう再発注が来たので、それは驚きました。
▲2022年12月にはJR大阪駅でサウナハットの巨大広告を企画
ー 最後に、今後の夢や目標をお聞かせください。
まずは、まだまだ九櫻刺子の認知度を高めることですね。そのうえで、これはあくまで個人的な夢ですが、最終的には九櫻刺子のリアル店舗、直営店を持ちたいですね。夢にたどり着くには先の先で、そのためにも現在の繊維事業部を充実させたいですね。
取材・構成:かしわらイイネット
(取材・2022年10月19日)
写真提供:株式会社九櫻 繊維事業部
(織機・市民総合フェス・大阪駅の撮影はかしわらイイネット)
※2月10日現在、Makuakeで「刺子生地によるサウナポンチョ」が展開されています。下記ページでご覧ください。
● サウナポンチョの常識を覆す。刺子生地を使う贅沢な1着をあなたにhttps://www.makuake.com/project/kusakurasashiko-15/