Report

コロナ禍にオンラインぶどう狩り。かねとも葡萄農園で横尾地区をPR

オンラインでぶどう狩り

柏原市では8月から10月中旬が「ぶどう狩り」のシーズン。

ピオーネやマスカットベリーAなどの大粒に、最近ではオプションで人気のシャインマスカットなども数量限定で取り入れる農園も現れてきました。

そのような柏原の観光産業にも新型コロナの影響が。学校も含めた団体客のキャンセル、主要駅からの送迎取りやめなどの要因が重なり、一時は年間平均5万人だった来場者数(出典:経済産業省資料)が、昨年は大きく減少しました。

毎年8月末の「ふるさと柏原ぶどう狩りツアー」も中止となった横尾地区では、約4千人にとどまりました。

 

ぶどう狩り

 

4回目の緊急事態宣言下でシーズンを迎えた今年も同イベントは中止。そこで柏原市と柏原観光ぶどう狩りセンター横尾支部では「オンラインぶどう狩り」を実施しました。昨年も実施した企画ですが、今年はさらに広く柏原ぶどうをPRしようと、朝日放送もバックアップ。

とは言え、オンラインでぶどう狩り、ってどんな内容? 言葉だけ耳にしてもピンと来ないため、8月27日、その現場を取材してきました。

 

会場は横尾(雁多尾畑)のかねとも葡萄農園。兵庫や京都など、不要不急で府県を跨げない大阪以外の府県を中心に、10組の参加がありました。

 

オンラインは、双方向で行う会議システム(Zoom)を使用。朝日放送テレビがあらかじめ取材した柏原市の説明、ぶどうの歴史やぶどうメニューを扱う飲食店などの映像を織り交ぜる構成で、ひとつの番組のように参加者を置き去りにしない工夫がされていました。そこはさすがテレビ局。

 

オンラインでぶどう狩り
▲Zoomでの配信。待ち時間に柏原の町やぶどうメニューを扱う店舗紹介も

 

元朝日放送で、現在は臨床心理士としても活躍するフリーアナウンサー関根友実さんによる司会進行もスムーズ。明るい声で各参加者の緊張を和らげ、今回の心持ちを引き出します。冨宅柏原市長、園主の横尾誠久さんとともに、全参加者と双方向の交流が図られました。

 

夏休み中の親子や子どもたち、コアなぶどうファン、中にはワーケーション感覚で(?)勤務の合間に仕事場からの参加者など、オンラインならではのやり取りが楽しく繰り広げられました。柏原がぶどうの産地と知らなかった人も。

 

オンラインでぶどう狩り
▲フリーアナウンサー関根友実さん(左)の司会進行で、冨宅柏原市長(中)とかねとも葡萄農園の横尾誠久さん(右)とともに

 

冨宅市長は「柏原市の名産ぶどうには子ども時代から思い入れが強い。コロナ禍でなかなかおいでいただけない状況ですが、これをきっかけに皆さんからも拡散していただき、落ち着いたらぜひ柏原にお越しください」とあいさつ。

園主の横尾誠久さんからは柏原ぶどうの現状説明のあと、「柏原でも人気のシャインマスカットを栽培しています。今回は数量限定でご用意していますので、ぜひ楽しんでください」とお話がありました。

 

ぶどう狩りに移る前には、柏原観光ぶどう狩りセンター横尾支部の横尾聡基さん(横卯園)から、「3品種を2キロ箱に入れる」ぶどう狩りの説明と、参加者の質問を受ける形で美味しいぶどうの見分け方もアドバイス。

「例えばマスカットベリーAでは粒の裏側まで黒く、ブドウの軸(茎)まで色づきがあるのが美味しいですよ。実が詰まって小さくなっているよりは、粒の形や大きさも見てください」と指南。

 

オンラインでぶどう狩り
▲横卯園の横尾聡基さんからは、今回のぶどう狩りの説明と美味しいぶどうの見分け方など

 

「一年中ブドウを食べたいので保存して食べるには?」という問いには、「さすがに私たち生産者は新鮮なうちに食べてほしいんですけど」と苦笑い。それでも「粒だけ取って保存するのではなく、軸もつけておく。洗うのは食べる直前にしてください」と回答。さらに、冷凍保存して食べているお客様がいるエピソードも語られました。

 

アドバイスをもとに、いよいよぶどう狩りスタート!

Zoomのブレイクアウトルーム機能(参加者それぞれが部屋に分かれる)を用いて、各参加者がマンツーマン形式で現場スタッフと交流します。

 

オンラインでぶどう狩り
▲ブレイクアウトルーム機能を用いて、画面を通して映像と音声によるやり取り

 

スタッフは二人体制。一人がiPhoneで撮影し、もう一人が画面内でぶどうを見せながら、お互いの会話でぶどうの品定めをします。スタッフには柏原市と大阪府中部農と緑の総合事務所、JA大阪中河内観光ぶどうセンターの職員が担当。約11a(アール)[約330坪]の傾斜がある畑を上り下りしながら、双方向でのぶどう狩りが30分間繰り広げられました。

 

オンラインでぶどう狩り オンラインでぶどう狩り
▲大阪府中部農と緑の総合事務所やJA大阪中河内観光ぶどうセンターの職員も

 

同時進行で10組のオンラインぶどう狩り。現場では画面で伝わりにくい、スタッフの皆さんによる懸命な姿があちらこちらで把握できました。途中で、園主の横尾さんはもちろん、冨宅市長も直々に各ルームに入ってPR。

 

オンラインでぶどう狩り
▲冨宅市長も直々に各ルームでPR

 

オンラインでぶどう狩り
▲「これがええよ」と、かねとも葡萄農園の横尾さん

 

大きさを求めるあまり、定められた2キロ箱に収まらないというハプニングもありましたが、朝日放送による細やかな構成と安定した回線で途切れることなく、時間内で終了。

京都からの参加者は「単にぶどう狩りをしているより、多くの新たな知識を得ることができました」と嬉しそう。収穫したブドウは参加者のもとへ即日発送されました。

 

「今回の企画をきっかけに柏原ぶどうの認知度を上げ、ネット販売も取り入れながらコロナ禍を乗り越えたい」と、生産者もここが踏ん張りどころと意を強くしています。

  

名称 かねとも葡萄農園
所在地 柏原市雁多尾畑5574番地
リンク ● Facebook
https://www.facebook.com/kanetomo.budou.nouen/

● じゃらん
https://www.jalan.net/kankou/spt_guide000000209094/activity_plan/?screenId=OUW3701