玉手山で見つかる昆虫を調べようと、子ども向けの「2022 親と子の昆虫観察会
夏の森には何がおるんやろか」が7月23日に開かれました。主催はかしわら森の会。
講師に日本甲虫学会会員 塩崎明夫さんを迎え、18組48人の参加者が集まり、玉手山の自然とともに昆虫探しを楽しみました。
▲ 講師の塩崎明夫さん
朝10時の開始にもかかわらず、ほとんどの参加者が受付時刻の9時30分には集まっていて、皆さんの熱心さが伝わってきます。
最初に塩崎さんからクヌギやコナラなどの木の説明があり、「このようなに木に虫が集まっていますよ」とお話がありました。
そのあとすぐに1時間ほどの散策です。スタッフの引率で、2班に分かれてそれぞれが昆虫探しを行いました。
▲スタッフの引率で公園内の坂を上り下りしながら散策
この時期、森のなかではアブラゼミの声が響きわたっています。子どもによって関心が違うのも興味深く、セミに夢中になる子、いきなり小さなトカゲを捕まえる子などもいて驚かされます。
▲人の少ないエリアでアブラゼミ。撮影前はここに4匹いた
▲速く飛び回るコシアキトンボ。止まらないからなかなか捕まらないよ、と塩崎先生
▲それでも捕まえようと、お父さんお母さんも大変・・・
公園内にあるクヌギの多いエリアでは、塩崎先生が樹液のある箇所を示します。
▲樹皮の裏にも潜んでいないか探してみる
「ここにカナブン(コガネムシ)がいるよ」と、子どもたちはもちろん、大人も興味津々で教わっていました。
▲今回カナブンが多くいた場所
筆者も子どものころは玉手山によくクワガタムシを探しに足を運んでいました。かつてはもっと多くのカナブンがいるイメージがあったので、そんな話を塩崎さんに投げてみました。
「それはね、クヌギのまわりに草が生い茂っているかどうかなんですよ。木は周りの地面に根を広げて養分を吸い上げるのですが、すべて草を刈り取ってしまうと人間にとっては安全だけど、クヌギの樹液には結びつかないことがある」
▲比較的歩きやすい場所での昆虫探し。藤井寺市を臨む
そう言えば、筆者が昆虫をみつけた当時は、時に草むらをかき分けていたものでした。色鮮やかなカナブンやタマムシが群がっていたものです。今さらながら話を聴いて、森の体系のバランスを考えることになりました。
ひととおり昆虫探しを終えたら、玉手山公園展望台に移動。
▲玉手山公園展望台へ移動。晴れるとパノラマのように見渡せる
子どもたちが見つけた虫たちの名前を教わります。
コクワガタ、イシバカミキリ、キョウトハナムグリ(コガネムシの一種)、キマワリ、ショウリョウバッタなどの虫を、子どもたちは見つけていました。
▲子どもたちが採集した虫を鑑定
▲カナブンやハナムグリ、カミキリムシなど
「全部持って帰りたいけど、お母さんが許してくれないので」と、柏原市内からの参加者の声。
ここでひとつ、先生から注意事項がありました。「クビアカツヤカミキリ」を見つけた子どもがいたのです。
これはサクラやモモ、ウメの木などの樹木に発生し、木を枯死させてしまう外来生物。2018年(平成30年)に特定外来生物に指定された虫で、柏原市でもせっかくのサクラの名所でも、中には木を切らなくてはいけないという状況に陥っています。
● (参考:大阪府)
特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」に関するお知らせ
▲当日、筆者も撮影したクビアカツヤカミキリ
開始前に、かしわら森の会の方々が採取していた虫も示し、「これはリリースしてはいけません」と呼びかけました。
▲かしわら森の会の人たちが採取したクビアカツヤカミキリ
子どもたちにとっては少し難しかったかもしれませんが、それでも玉手山の自然に触れ、楽しく学ぶ姿が多く見受けられた昆虫観察会でした。
かしわら森の会では、今後もこのような企画を通して自然の大切さを学んでほしい、としています。
(※2022.07.29 19:15 一部表記を修正しました)
2012年に「かしわらイイネット」を設立。地域の情報発信をはじめSNS講座講師、各種講座の主催も担う。趣味は音楽、天然石探しなど、いずれもロック。