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子どもたちが安全にインターネットを使うには。小中学校で情報モラル講座

これから夏休み。子どもたちも自由に遊べる時期に入りますが、子どものスマートフォンやゲーム機などの利用が高まっています。

内閣府がまとめた「令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」によると、

「スマートフォン」は、小学生が43.8%、中学生が78.9%となり、高校生になると97.9%が利用している(回答者数:3,183人)

 

という結果が出ています。利用者が増えるにつれ、トラブルも増加。

そこで、柏原市の一部の小中学校で「インターネット・スマートフォン 安全教室」が行われました。

講師は石川千明さん。石川さんはゲーム会社で勤務した経歴を持ち、現在は京都府警察ネット安心アドバイザーなどを担い、講演や地域活動に取り組んでいます。

今回のようなインターネットの使い方を子どもたちや保護者とともに考える「情報モラル講座」は、北海道から九州まで全国の学校、地域、自治体などで行っています。

6月10日には柏原小学校で5年生・6年生を対象とした全体授業。土曜参観の終了後に希望する保護者も聴講しました。

 

子どもたちが安全にインターネットを使うには。小中学校で情報モラル講座

 

まずインターネットを使える機器説明で子どもたちの緊張がほぐれたあと、テレビ番組やぬいぐるみを話題としたSNS(グループチャット)での3人の会話から、ひとりの子どもが仲間外れになった原因を探っていきました。

グループワークで話し合い、子どもたちが回答。会話のどこが原因だったのか、子どもたちの感想にはそれぞれ異なる着眼点がありました。

 

「3人のわずかな書き込みだけで、さまざまな意見が出ます。本人は意地悪で言ったわけではないのにたくさんの人が見ると受け止め方はそれぞれ違いますね。まず、書き込む前に相手がどう思うかを考えるのが大切です。もしトラブルになってしまったらどのような声をかけたらいいのか、みなさんができる行動も授業で話し合ってみてください」

文字だけの会話で起こりやすいトラブルとともに、トラブル後のコミュニケーションの取り方についても考えるよう、石川さんは述べました。

 

その他、安易な写真投稿、見知らぬ人(アカウント)とのやり取りで個人情報を送る危険性、夜遅くまでゲームを続けることで起こる学校での活動や体調面での弊害、ルールづくりの必要性などを、子どもたちにわかりやすい事例で解説。

 

子どもたちへの講演のあとは、保護者にも説明がありました。

ゲーム依存(ゲーム障がい)については、WHO(世界保健機関)から2019年に依存症に認定されていると解説。決して「自分の子どもは依存しない」という思い込みに陥らず、子どもとの「ルールづくり」や見守りを行う必要性を勧めました。

その上で、

「ルールづくりを家庭で実践するのは簡単ではないとは思います。それでも言い続けてください。インターネットでのトラブルは扱う側の心に問題が起こったとき、親子の関わりに不安が起こったときに発生する傾向があります。親子の信頼関係を築くためにも、子どもが帰ってきたときにスマートフォンを見ながら迎えるのではなく、手元から機器を置いて『おかえり』と出迎えてあげてください」

と、日頃の子どもへの接し方についても触れていました。

 

6月22日には堅下北中学校で講演。この日は中学生全員が体育館に集まりました。

 

子どもたちが安全にインターネットを使うには。小中学校で情報モラル講座

 

対象が中学生となり、今回はSNSでの発言が犯罪となる話も。脅迫罪など具体的な罪名とともに、罪の重さの解説が加えられました。

さらに最近話題の「迷惑動画」に関する注意点について説明。軽はずみの投稿によって多額の賠償請求に遭い、さらに家族や友人、学校や職場も巻き込み攻撃にあってしまう社会現象も起きています。わずか数時間で本人特定されてしまうネット社会の実例も交えた話でした。

 

「スマートフォンで簡単に世界へ発信できるSNSだけに、ひとつの失敗が皆さんの将来を台無しにしてしまう可能性がある。投稿する前にしっかり考えてほしい」と、石川さんは語気を強め、注意を呼びかけました。

 

また、インターネットの友だちから求められプライベートゾーン(水着で隠れる身体の箇所)の写真を送ったことがきっかけで脅迫を受け、拡散される危険性の指摘。特に夏休みの時期は気分も服装も開放的になりがちなので注意が必要です。

その他、ネットの利用時間と学力成績との関係性についても触れ、時間の有効な使い方を皆で考えるよう、提言がありました。

 

石川さんは「<自分は大丈夫>と思っている人が一番危ないです」と注意し、「皆さんにはSNSに溢れる情報の正しさを見極める目を養ってほしい」「心配ごとを相談できるひとをSNSではなく、実際の社会で見つけてほしい」などと呼びかけ、講演を締めくくりました。

石川さんが説明したような「情報モラル」「ルールづくり」などの説明は、下記のページでもまとめられています。参考にしてください。

 

情報モラル学習サイト(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/moral/#/

小学生向け「初めてのスマホ安心ガイドブック」(公益財団法人ベネッセこども基金)
https://blog.benesse.ne.jp/kodomokikin/support/useful/2020/03111438.html

 

(石川千明さんプロフィール)

大手ゲーム会社で企画開発を担当。
退職後 子育て支援グループいこま育児ネット設立し子育て支援の傍ら、web企画制作、コンサルタントとして活動。

2008年自治体、学校等でICT支援活動を開始。
度重なる子どもたちのネットトラブルを機に2011年から情報モラル教育を始める。

それらの経験また母親目線から、わかりやすくネットトラブルの現状と対策を解説している。

NPO法人 奈良地域の学び推進機構・理事、京都府警察 ネット安心アドバイザー。

(Webサイト)
https://www.j-moral.com/

 

※この記事は、講師の石川様、学校関係者の方々のご理解とご確認をいただき、掲載しました。

(取材・執筆 かしわらイイネット大村)