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河内木綿で柏原も縁の深い「茶吉庵」

茶吉庵

柏原から東高野街道を北に進むと、恩智神社一の鳥居のそばに江戸時代から残る木綿問屋の建物があります。現在、この建物を歴史的資産として残し、再生しようと『茶吉庵プロジェクト』という事業が始まっています。

1704年の大和川付け替え以後、河内における旧川床を利用した畑は水はけがよく、綿の栽培に適した地域でした。河内地域の綿の生産者と、織物などとして加工・消費する注文主との間を仲介し、商品の管理を行っていたのが、この建物だったのです。

建物や敷地の随所に、江戸時代、ここが河内の経済活性の中心にあったことをうかがわせる建物の造りや、その空気を感じさせる敷地が残っています。

 

茶吉庵
▲奥の裏庭は、大きな蔵や広い敷地も

 

今回の再生プロジェクトにおいても当時の台帳や調度品などが多く見つかっており、すでに八尾・柏原の博物館や資料館に寄贈されたものもあります。

 

茶吉庵
▲木綿問屋としての重要な役割であったことを示す物が並ぶ

 

茶吉庵

茶吉庵
▲河内木綿の特徴である生地の強さを実感

 

実は、こちらの所有者は宮脇書店大阪柏原店の萩原さん(現在は書店もオーナー)。書店のある敷地もかつては織物工場があり、柏原の長瀬川沿いも綿の歴史豊かな地域なのです。

茶吉(ちゃきち)とは「茶屋吉兵衛」を意味しており、萩原さんの家系において代々受け継がれている名前。その由緒ある名を用いることで、木綿問屋としての伝統と歴史を背景とした独自の空間を作り上げたいとしています。

この「茶吉庵プロジェクト」は現在進行形で実施されているもので、これまで多くの方々の協力を得つつ、整理がなされています。建物内においてその風情を活かした料理店が経営できないかと見学にも来られています。

 

茶吉庵
▲写真 最上部にある梁(はり)は、城にある程の大きさ

 

茶吉庵
▲右にあるのは火消しに使われたとされる道具。地域に響き渡る鐘も。

 

茶吉庵
▲舟で木綿を運んでいた様子を表す

 

茶吉庵
▲左は昔の冷蔵庫。上に氷を詰めて冷蔵していた。

 

現在は、八尾を中心に地域づくりも実施する不動産管理会社SORASIA(ソラシア)がプロジェクトの一部を担っており、これまでの活動記録が下記アドレスにて綴られています。

 

SORASIA(ソラシア)・活動記録(古民家再生)
http://sorasia.jp/category/%E5%8F%A4%E6%B0%91%E5%AE%B6%E5%86%8D%E7%94%9F/

 

今回の訪問より前に残されていた河内木綿に関する道具、当時の木綿問屋としての雰囲気、河内木綿保存に関わる方々などの見学についての様子が多数記録されていますので、ご覧ください。

 

茶吉庵 茶吉庵

裏には綿を管理していた蔵があり、水運や恩智街道にも通じる交通の利を活かした敷地が広がっています。萩原さんによると「建物内では情緒あるギャラリー、敷地においてはマルシェや農園として活かしていきたい」とも検討されています。

柏原からも東高野街道(旧170号線)ですぐ近くにあるこちらのプロジェクトがどのように進んでいくのか、注目されるところです。

 

施設名 茶吉庵
場所 八尾市恩智中町3丁目1
アクセス
公式サイト https://chakichian.co.jp/