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家族の歌唱力と結束力で金賞(乾ファミリー)

家族の歌唱力と結束力で金賞(乾ファミリー)
photo by フォトリエキヨス(桐山知兼)

 

文化の日である11月3日、東京・五反田ゆうぽうとホールで「第29回寛仁親王牌 全国童謡歌唱コンクールグランプリ大会」(主催:一般社団法人 日本童謡協会 / テレビ朝日および系列23社 後援:文化庁 / BS朝日 特別協賛:日本公文教育研究会)が開催され、柏原市在住の乾ファミリー(写真)が見事ファミリー部門の金賞に輝きました。

 

この大会は、全国7ブロックで童謡を歌う予選大会を通過した地区代表が各部門(子ども部門・大人部門・ファミリー部門)において出場。そのファイナルにあたるもので、乾ファミリーはそのグランプリを受賞したものです。

 

そこで、柏原市内でも様々な催しや商店街などのイベントにおいて参加されている乾ファミリーのお母さん、乾知佐恵さんにお話をうかがいました。

知佐恵さんは、現在「うたの絵本屋さん合唱隊」に所属し、その前身となる「柏原市少年少女合唱団」に小学生の頃から参加していました。大阪教育大学芸術専攻音楽コースを卒業したあとも、合唱団のサポートを「楽しみながら」活動されてきたそうです。

 

家族の歌唱力と結束力で金賞(乾ファミリー)
▲「うたの絵本屋さん合唱隊」 オガタ通り商店街のイベントにて

 

中学校当時から知り合いだったご主人、満晴さんとの間に一男一女を授かり、さすが受賞されたとあって、普段から仲の良いご家族です。

日常においても、音楽のない生活は考えられないようですが、厳しい指導が行なわれている雰囲気はまったくありません。楽しく歌ったり、ピアノを弾いたりとする日常が基本とのこと。

家族全員でドライブに行く際の光景がいかにも楽しそう。車中にBGMが流れていなくても誰かが歌いだす。すると自然と誰かがハモる。主旋律の三度下、六度上を重ねてきて、知らぬ間に主旋律がいなくなるという面白さ。もちろんすべて上手くハモれるわけではないので、「そこは違うよ」と知佐恵さんが教えて、楽しく身についてくる。そんなところにも乾ファミリーの結束力が隠れているような気がします。

 

この日常の楽しさには、ひとつ理由がありました。幼少時に長男の晟隆くんは体が強くなく、長女のあすかさん含めて皆でサポートをしてきたのだそうです。克服のために常に笑顔を絶やさない姿を心がけてきた結果、晟隆くんの体調もよくなり、現在のような明るさのある家族となったのだそうです。

 

このグランプリ受賞は4回目の挑戦でした。毎年6月にテープ審査、その上で夏の近畿ブロック大会を通過しなくてはならない(最優秀賞)のですが、これまで優秀賞の2回が最高で、今年が初の全国大会。参加グループでは唯一のアカペラで、曲は「赤蜻蛉(とんぼ)」を。

 

大会では衣装にもこだわり、ラストを飾る「夕焼け小焼けの赤とんぼ とまっているよ 竿の先」における振りもついた表現には、竿ととんぼをあしらった小道具が使われています。

 

家族の歌唱力と結束力で金賞(乾ファミリー)

 

この表現は、知佐恵さんとしてはひとつの「鍵」だと感じていて、ぜひとも実現させたかったとか。 地元上市のお祭りで不要となった笹が竿として使われているそうです。

 

さすがに本番当日は皆さん緊張を隠せなかったようですが、それでも、歌唱力、結束力、アカペラ,表現力が上手く相まって、審査員の胸を打つものが多くあったのでしょう。

乾ファミリーの所属する「うたの絵本屋さん合唱隊」では、常時メンバーを募集しています。小学校1年生から入れるそうで、ぜひ皆さんもご参加ください、とのことです。

 

 

最後に後日談としてのエピソードを。全国大会に応援する友人が多数来られると知って、知佐恵さんは無事に会場まで来られるかが心配になり、雁多尾畑にある金山媛神社へお参りに行ったそうです。自身の受賞祈願ではなく、友人の交通安全のために。

知佐恵さんの人となりが垣間見えますが、後になって、

「『金』山媛神社のおかげで『金賞』が取れたのではないか」と。

本当は実力があっての受賞でしょうが、終始楽しそうにお話していただいたのが印象的でした。