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秋の高尾山と古墳を学ぶ。柏原の歴史と自然を体感したハイキング

高尾山創造の森 古墳巡りハイキング

秋の紅葉と古墳を学ぼうと企画された「高尾山創造の森 古墳巡りハイキング」で11月23日、高尾山(たかおやま)を登りました。

地元では「たかがみさん」と呼ぶ人も多く、そばにある鐸比古鐸比賣神社へ(ぬでひこぬでひめじんじゃ)とともに古くから山への信仰が考えられる場所です。

 

鐸比古鐸比賣神社
▲鐸比古鐸比賣神社。元は山の上にあったのを麓まで降ろしてきた

 

その鐸比古鐸比賣神社で受付を済ませ、上にある南パノラマ展望台で集合。高尾山の標高は278m。決して高くはありませんが、山に入ってからの傾斜が急なため油断してはいけません。慣れない人はそこまで上がるのもひと苦労かもしれないので、足元に注意してください。

 

高尾山
▲紅葉のなか、急に傾斜の強くなる山道を上がる(見下ろしている写真)

 

急な寒気と強風がありましたが天候はよく、展望台まで上がると淡路島まではっきりわかる眺め。

高尾山
▲安村館長からまずは高尾山の立地を説明

 

高尾山からの眺め
▲柏原の駅付近を眺望。この日は晴天と強風のためか明石海峡大橋や淡路島まで見えた

 

紅葉もきれいで、水仙もちらほらと咲き始めています。今年は季節が早いのか、水仙がもう咲き始めています。

高尾山の水仙

 

古墳巡りツアーの説明は、柏原市立歴史資料館・安村館長。考古学的資料から見た高尾山(平尾山古墳群)のお話。途中でこの南側から出てきた多鈕細文鏡の説明もありました。

発見された大正14年頃はその貴重さがわからず、次々に転売されたのを買い戻したというエピソードも。現在では東京国立博物館に所蔵されています。

 

多紐細文鏡

 

高尾山含めてこの一帯には1,400以上の古墳時代後期の群集墳として残っており、ひとつの尾根にひとつの古墳があるというのを、尾根を登り降りしながら体感し、知りました。

高尾山 平尾山古墳群
▲保存のいい古墳はこの時期、落葉に隠れている

 

古墳時代後期になると被葬者の階級はそれほど上ではなくても造られていましたが、石積みや石の重さを考えるとそこそこ財力のある人のお墓ではないか、ちなみにすべて南向きに扉があり、北枕で葬られていた、とのこと。

 

平尾山古墳群

高尾山の花崗岩をそのま使用した造りの古墳前では、風の音も遮断されます。それくらい造営のしっかりしている状況が実感できました。石棺は二上山の凝灰岩や兵庫県の竜山石が使われています。それを考えると、どのようにしてこんな山の中まで石を運んできたのか不思議に思えます。

 

平尾山古墳群
▲長年の月日の中で土砂が流れてしまい露岩した古墳も。石積みはこのあたりの自然岩(花崗岩)

 

「ボランティアの方々のサポートもあって整備されている森には四季折々の楽しみ方があるので、季節ごとに楽しんでください」と、柏原市産業振興課は説明されていました。

 

高尾山
▲高尾山ではヒノキなどの木々が育っている