緊急事態宣言解除後の10月20日、国士舘大学文学部 史学地理学科 地理・環境コースの学生が柏原市を訪問。Guesthouse Bed&Bicycleを拠点に、関西の各地域へ足を運んで野外実習を行いました。
同大学の地理・環境コースは「地理的・地理学的な見方・考え方を通して社会の理解と発展に資する人材を育成すること」を目的とし、環境や地域の社会構成など幅広い分野を横断する学問を行なっています。
1学年平均80人を教員6人で担当。今回の皆さんは3年生で、それぞれがテーマを決め、観光や地場産業、まちおこし、歴史、移民などをテーマに調査を実施しました。柏原を拠点に、大阪市内・京都・神戸など各自が足を運んで調べるもの。
アメリカ村の在日外国人、大阪のたこ焼き文化と観光、サッカースタジアムの改修効果など、幅広いものでした。
▲学生による聴き取りの模様(国士舘大学文学部 史学地理学科 地理・環境コースのページより)
柏原市ではブラジル人居住者にテーマを絞って調べた人も。本人の居住する地域にもブラジル人が多いことが理由だったようです。
実習から戻り毎晩、その日の報告を行います(写真はその模様)。学生のその日の行動を確認し、担当の桐越仁美講師が翌日に向けたアドバイスを行います。
「サンプルが足りないようなので、もっとデータを集めましょう」「集めたデータを時系列や空間的な分布にして考えましょう」
などと説明されていました。
▲報告は毎晩、野外で行われた
最近はスマートフォンで多くを調べられる時代ですが、そこにはないデータが必ずあるようにも思えます。
例えば今回、菅原道真をまつった神社を調査する学生から筆者に質問がありました。地図アプリで「菅原道真 神社」と検索すると著名な北野天満宮、地元では知られた道明寺天満宮が表示されない、という事象があるのです。
これはほんの一例ですが、すべてネットで解決できるわけではなく、実際の聞き取り、多くの文献調査など、幅広い角度から探求をすることの必要性を感じました。
大学に戻り、今回のテーマを皆さんがどのように仕上げたのか興味深く感じさせられたひとときでした。
最後に、今回拠点とした柏原市についての印象を、桐越講師に尋ねました。
歴史は非常に古く、かつ重要な位置を占めてきたものとお見受けします。それは、奈良と大阪の中間に位置し、ゆえに豊富な自然(山)があることにも由来しているのだろうと思いました。
周辺地域の地名が独特で、京都の地名がそうであるように、歴史の古さから来ているものだろうと感じます。
アクセスは良好で、学生も遠方の調査をこなせていました。町の様子については、昔ながらの雰囲気がかなり残っているという印象。
学生は大規模な開発がされていないことを不思議に思っていたようですが、古い町であり、なおかつ長年にわたってベッドタウンの機能を果たしてきたことを考えると、大規模な開発より空き家のリノベーションという選択の方が適しているのだろう、と感じました。
と、古い時代から現在におよぶ柏原の姿についてコメントをいただき、ぶどうについても研究してみたい、とも話していただきました。