2024年10月2日より募集を開始しました!
※この記事は2017年4月開催の内容です。その後、大きな増水や河川工事があったため、大和川河川敷の状況は変化しています。
河川に近づく場合は、急激に変化する天候や、上流の増水にも注意してください。(2022.07.30. 追記)
大和川にある天然石をみつけようと、ワークショップ「探してみよう キラリ光る石」を開催しました。
講師をお願いしたのは、元大阪教育大学副校長・理学博士の柴山元彦先生(現 自然環境研究オフィス)。
柴山先生との出会いは今から1年少し前。著作である「一人で探せる川辺や海辺のきれいな石の図鑑」(創元社)が新聞で紹介されていることを知ったことがきっかけでした。
(※現在、2巻目の「ひとりで探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑2」も創元社から発刊されています)
こちらのなかで「大和川でガーネットが見つかる」と綴られた文章に深く興味を抱き、すぐにアポイントメントを取って事務所までお話をお聞かせいただきました。
北には生駒山系、南には二上山のある国分付近の大和川は、南北の山々より先に存在し、それらの隆起を抑えるように浸食させています。このような河川は先行谷(せんこうこく)と呼ばれています。
そのため、国分付近の大和川より北側には、約1億年前の花崗岩(地球内の地下でマグマがゆっくり冷えて固まってできる)、南側には約1500万年前の火山岩(地表でマグマが急に冷え固まってできる)が存在。
また、高井田や玉手山にある横穴がつくられている凝灰岩は、大台ケ原付近にあった火山からの堆積物(室生火砕流)と学会で言われており、玉手山凝灰岩と呼ばれています。
そのような知識を教えていただきながら、柴山先生とはその後も柏原まで出向いていただいたり、私自身も他団体主催の講座を受講するなど交流を重ねるなかで、今回のワークショップ開催に至りました。このようなお話を度々Facebookなどで発信していたこともあってなのでしょうか、お申し込みは当日までに定員に達する状況となりました。
JR高井田駅に10時に集合。今回、女性の参加率が高かったのも特徴で、世代も関係なく家族でもご参加いただきました。また、地学を専攻する学生の方も。
この日の天気予報は、南からの暖かい湿った空気と寒気が混ざる不安定な天候との予報とあって、空の様子をうかがいながらの進行となりました。
まずは史跡高井田横穴公園の横穴を見学。
柏原市歴史資料館の安村館長に、玉手山凝灰岩でつくられている横穴を2箇所開けていただき、解説も加えていただきました。(事前に団体での見学申し込みが必要)
比較的軟らかく、横穴を造るには好条件の凝灰岩がある高井田横穴群では、凝灰岩の露出箇所と 横穴の分布範囲が一致し、これらを造った人たちは、凝灰岩の性質を理解していたのではないか、また、壁と天井の境目に切り込まれた段があるのも特徴(切り込み段)。家の軒先を表現したという説が有力だそうです。
凝灰岩の軟らかい特質は、逆に言えば脆くもあり傷つきやすい。横穴の内部壁面に手指の痕が残っているものもあります。したがって、普段は鍵がかけられている横穴が多数。
また、この場所で有名な線刻壁画は毎年5月10月の一般開放日でも公開されないことのある貴重な壁画です。横穴は基本的に埋葬されていたとされており、この場所で有名な線刻壁画に描かれる舟は「あの世」へ行くための乗り物ではないか、とのことでした。
横穴見学を終えると、歴史資料館を訪問。この地域で見つかった遺跡の出土品にも多く石が使われています。あわせて企画展「竹原井頓宮(たかはらいのとんぐう)」(奈良と難波の都を天皇が行き来する際に訪れたとされる離宮)も見学しました。
11時頃、強い雨雲が柏原上空を1時間ほど通過するということで、研修室にて柴山先生からご好意によりミニ講座の時間をつくっていただきました。前述した柏原ならではの地形の成り立ちによる天然石の話、また、二上山と瀬戸内からしか見つからないサヌカイトを用意いただき、その説明を。
別名が「かんかん石」と言われるように、叩くときれいな音が鳴るのがサヌカイトの特徴。硬くて割ると鋭利になることから、古代より石包丁や矢じりにも用いられました。
実際に鳴るきれいな音に、子どもたちはもちろん大人も聴き入っている姿が印象的でした。
ミニ講座のあと、ちょうどシャワーのような強い雨が降り始めました。が、しばらく様子を見ていると12時過ぎには小康状態に。このタイミングで河川敷へと移動し、たどり着いた頃には青空となる快晴。無事野外での天然石探しを実施することができました。
まず、先生からどのような石を見つければいいのかなどの説明があり、ガーネットなどが含まれる光る石を見つけようと、それぞれが散らばって石探しのはじまりです。
前半はほとんど座学、しかも雨が止むのも待っていたため、ややテンポ不足が否めない状況でしたが、この天然石探しが始まるや、皆さんの表情がすぐに変わったのも印象的でした。
「これは何ですか?」など頻繁に聞いてまわる皆さんに、ルーペで構造をチェックもしながら丁寧に教えていただきます。
最初にメノウを見つける子どもが現れ、ガーネット、長石、緑廉石、ペグマタイトなどいくつもの種類の天然石・小さな鉱物が見つかりました。
※石の写真公開は終了しました。ご了承下さい。
皆さん、実際にそのような石が大和川で見つかることを知って、ちょっとした宝探しのような気分で楽しみつつ、柏原の自然や地形を学ばれていたのが印象的でした。
これまでこのようなワークショップは地元の団体などでは行われておらず、皆さんの反応など検討する機会にもなったワークショップとなりました。
移動やマンパワー、天候の問題。いくつかの反省点について検討を加えるなかで、今後も企画していきたいと考えています。
今回ご指導いただいた柴山先生をはじめ、スタッフの方々、ご協力いただいた柏原市立歴史資料館安村館長にお礼申し上げます。
※「亀の瀬で探そう、きらり光る石」を2022年3月12日(土)に行いました!
https://kashiwara-e.net/news/16041/