耳で聴く「オーディオブック」の活用で、市民の健康推進など地域課題や社会課題の解決を図ろうと、柏原市と音声配信サービス「audiobook.jp」を運営する株式会社オトバンクが6月29日、包括連携協定の締結を交わしました。
株式会社オトバンクは「耳で本を聴く」オーディオブックを制作・販売する企業で2004年に創業、累計200万人以上の会員が利用しています(2021年6月時点)。
締結の内容は以下のとおり。
- オーディオブックを活用した心と体の健康増進に関すること
- オーディオブックを活用した地域コミュニティの活性化に関すること
- 音声コンテンツによる柏原市の魅力向上と情報発信に関すること
- その他地域の活性化および市民サービスの向上に関すること
あいさつした冨宅柏原市長は「全国でも長寿の116歳の高齢者が暮らす柏原市でも、健康が1つのキーワードとなっている。今回のオトバンク株式会社との連携で、健康福祉や子育て支援などの事業をより推進していきたい」と述べました。
▲あいさつに立った冨宅柏原市長
▲創業者の株式会社オトバンク上田渉会長(右)
創業者の株式会社オトバンク上田渉会長は緑内障で目が不自由となった祖父の話題にふれ、「目の不自由な人に向けたサービス考案から、2004年にオトバンクを設立した。 <聴く文化を広げる>ことを企業理念とするオトバンクでは、自治体との包括連携協定は今回が初めてである。自然豊かな柏原市との連携によって市民の皆様へ貢献したい」と、これからの抱負を語りました。
▲健康増進など4項目で締結
株式会社オトバンクは、関西福祉科学大学保健医療学部リハビリテーション学科 重森健太教授と共同研究を行っていることから、重森教授からはビデオメッセージが寄せられました。
▲関西福祉科学大学重森教授よりビデオメセージ
重森教授は、65歳以上の要支援高齢者を対象に行なった研究で、「標準的な認知トレーニングとして行われる計算課題」と「運動」とのデュアルタスクと、「オーディオブック」と「運動」とのデュアルタスクを比較すると、同等の脳血流活性作用があったと報告し、「認知症予防として、運動と併用したオーディオブックの活用可能性が期待できる」とメッセージを寄せました。
この日は特別ゲストとして、オーディオブック出演者代表として声優のTARAKOさん、1日オーディオブック大使として声優でも活躍する森尾由美さんが、締結式に出席。
ちびまる子ちゃんの主人公の声として有名なTARAKOさんは、「アニメと違って絵がないことから、自分の声で立体化でき、表現の幅が広がるのが楽しい」と、語り手ならではの特徴が話されました。
▲「柏原市の亀の瀬やぶどう・手ぬぐいなど特産も素晴らしいです」とTARAKOさん
自らもウォーキングで活用する森尾由美さんは「音読のリズムにあわせて体が動き、すき間時間を上手に利用できるのが特徴。耳からでも食べ物のにおいを感じることができる。<audiobook.jp>には小説やエッセイ、実用書など多くのジャンルがあるので、頻繁に活用している」と、日々のエピソードを交え笑顔で語っていました。
▲ウォーキング中のエピソードも交え、明るく話す森尾さん
その後、柏原市役所1階フリースペースで市民向けオーディオ体験イベントが開かれ、冨宅柏原市長、上田渉会長、森尾由美さんによるトークイベント、TARAKOさんによる生朗読が行われました。
▲柏原市役所1階でトークイベント
ひとりで何役もこなすTARAKOさんの朗読を聴き、参加者のひとりは「音声で聴くと、想像する世界が広がるようだった。これから利用してみたい」と語っていました。
▲TARAKOさんによる生朗読。ユーモアな語り口調に会場は笑いも
柏原市では今回の協定締結を機に、9月以降オーディオブックを聴きながらの「耳活ウォーキング」で市民の健康づくりを推進するイベントや、オーディオブックを聴きながら室内で軽い運動を行う「耳活フィットネス」のイベントを予定しています。