大学でワインを醸造!ぶどうを名産とする柏原ならではの新たなチャレンジを見学しました。ここは、柏原市にある関西福祉科学大学健康福祉学部福祉栄養学科の一室。
およそ30平方メートルの実習室に、ワイン醸造プラントが設置されています。管理栄養士を養成する大学としては、全国では初の試み。
担当の大迫雅人先生に案内していただきました。大迫先生は本来、高齢者食の食品物性に関する研究を行っています。その一方で、ワイン醸造の実習にも携わることになり、東広島市にある酒類総合研究所などで研鑽(さん)を積んで、現在に至っています。
ここには破砕からプレス(圧搾)、発酵、アルコール蒸留、濾過までの一連の流れが学べるようになっています。
▲除梗(じょこう)+破砕機。大きな仕込みを行う際に大活躍
▲圧搾機。バスケットプレスと呼ばれる仕組みを採用
また、すべて機械で任せるのは学びにならないと、ぶどうを人力で圧搾する作業も取り入れ、酵母を用いて発酵させる手法を実感できる工夫も取り入れています。この取り組みは今年度から始まっていて、かかわる学生は約40人の福祉栄養学科(2つの研究室)3・4年生。
▲4グループに分かれて発酵する状況を比較
▲タンクは25リットル×4本を用意
原料はもちろん柏原ぶどうで、柏原市内のぶどう直売所で購入しています。
▲ぶどう直売所でデラウエアを購入
▲発酵する前のぶどうジュース
学生教育を主な目的とした「試験製造免許」を取得し、ワイン醸造を行っているため今のところ販売はできません。また、20歳以上の学生だけで、テイスティング(1口含むだけで飲まない)での味覚確認に限っているそうです
それでも学生たちにとってはワイン醸造が直接学べるとあって、試行錯誤を繰り返しながらも、関心の高い実習となっています。管理栄養士をめざす学科だけに、ぶどうに含まれる栄養についての学びもあるようです。
そのうえで、大迫先生は「今後はマスカットベリーAを使ったワインも醸造したい」ともおっしゃられていました。
▲タンクで発酵させたデラウエアワインを確かめる大迫先生
同大学の峯松正敏 健康福祉学部長からは、「昨年度は新型コロナの影響で思うように進まなかった計画でした。今のところは地域のぶどう生産者の苦労を汲み取ることまではできていませんが、この取り組みをきっかけに本学の学生が大学のある町にも関心を持ち、将来にも活かしてほしい」と説明もいただきました。
始まったばかりのワイン醸造ですが、オープンキャンパスでも見学できる機会があるそうなので(完全予約制)、これから管理栄養士をめざす受験生やご家族で関心のある方は、お問い合わせしてみてください。(大学の下記ページもご参考に)
ふっかの健康食ラボラトリー
「全国初!ワイン作りを学べるワイン醸造プラントが完成」